映画と本と自分と山

映画が半分、残りは本と自分、時々山登りについて

ヨシタケシンスケ『ものは言いよう』

 先日書いたヨシタケシンスケさんと伊藤亜紗さんの『みえるとかみえるとか 』、すごく良くて、ヨシタケさんのエッセイ(?)が出ていたな、と手に取ってみました。
 


ものは言いよう

  

ものは言いよう|白泉社

 

内容白泉社より)
数々の絵本賞を受賞している大人気絵本作家、ヨシタケシンスケ。その絵本創作の秘密がすべて詰まったインタビュー&イラスト集。 ユニークな「ヨシタケシンスケのしくみ」「ヨシタケシンスケができるまで」「ヨシタケシンスケの一日」などのイラストや、 スケッチ、アトリエ、本棚、お気に入りの本などの写真も満載。 ファンはもちろん、絵本を好きな人も楽しめる保存版の1冊です。

勝手に五段階評価
★★★★☆

感想
 内容は、エッセイというか、今までのヨシタケさんの仕事を振り返るものになっていて、読者から寄せられた100の質問に答えていたり、どんなきっかけでデビュー作であり代表作の『りんごかもしれない』を出版することになったのか、ということから始まり、今まで(2019年秋まで)出した作品についてもどういう気持ちやきっかけで描いた作品なのかが載っています。
 全部の作品紹介を読んでいて、やっぱりこの2年弱は子どもたちと離れたこともあって読んでいない作品があって、「子どもがいたらなぁ」なんて思ってしまいました。

 けれど、一番良かったのは、これまでどんな本に触れてきたのか、どんな本に影響を受けてきたのかということと、どういう気持ちでつくっているかというについてで、ちょっと長いですが、すごく印象的だった箇所を載せてみます。

 僕が好きなヘンリー・ダーガーさんのエピソードも、要は変なおじいさんの描いた作品が、たまたま世に出す手段を持った人が見つけたから世に出たけれども、あの人の話で一番大事なのは、世の中にはああいう人がいっぱいいる、世の中に出ないままゴミとして処分されている創作物がたくさんある、ということなんですよ。その中にはどんな文豪でも書けない素晴らしい作品があるはずで、世の中に残らない名作はたくさんある。世の中に残るのはごくごく限られた幸運があったものだけであって、残らないものの方が断然多いし、残したくても残せない人がいっぱいいる、ということを言いたいんですよね。


 ヨシタケさんはヘンリー・ダーガーさんに影響されたと書いていて、そのヘンリー・ダーガーがどういう人だったのかというと、もの凄い量の創作物が死後見出されて評価されたという人です。
 これは、去年最も影響を受けた坂口恭平さんも『まとまらない人』の中で似たようなことを書いていて、ただつくるしかないんだ、と。
 それを評価してくれるか、お金になるか関係なく、そんなことを考えることなく、ただつくること、ということを書いていて、だからこそ僕も今までただただノートやメモ帳に書きためていたものを、とりあえず出しちゃえって、Instagramに自分で撮った写真と一緒に短歌や詩を載せるようになりました。

 ヨシタケさんと坂口さんの違う所は、ヨシタケさんはやっぱりそれでも認められたいとか褒められたいって言う気持ちがあるということを書いていて、坂口さんはそういうのはダサいと言っているところです。
 僕はダサいと言ってもらったことで外に出せるようになったけれど、本音としてはやっぱり出したからには認められたり、褒められたいな、という気持ちがあります。

 まぁ、でも、こうやって、僕もまたイラストや絵ではありませんが、つくり続けようと思いました。