映画と本と自分と山

映画が半分、残りは本と自分、時々山登りについて

「こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話」

 観たいと思っていた映画がAmazonプライムで観られるようになっていたので観てみました。 

 


こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話

 

映画『こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話』公式サイト


作品データ映画.comより)
監督 前田哲
製作年 2018年
製作国 日本
上映時間 120分
配給 松竹
映倫区分 G

内容(公式サイトより)
鹿野靖明、34歳。札幌在住。幼少の頃から難病の筋ジストロフィーを患い、体で動かせるのは首と手だけ。人の助けがないと生きていけないにも関わらず、病院を飛び出し、風変わりな自立生活を始める。自ら大勢のボランティアを集め、わがまま放題。ずうずうしくて、おしゃべりで、ほれっぽくて!自由すぎる性格に振り回されながら、でも、まっすぐに力強く生きる彼のことがみんな大好きだった―。この映画は、そんな鹿野靖明さんと、彼に出会って変わっていく人々の人生を、笑いあり涙ありで描く最高の感動実話!

勝手に五段階評価(基本的に甘いです)
★★★★★

感想
 以前、原作(というか原案?)となる『こんな夜更けにバナナかよ』を書いた渡辺一史さんの『人と人はなぜ支え合うのか』でも触れましたが、僕は大学・大学院で「障害」「障害者」をテーマにしていました。
 もっと具体的に言えば、キリスト教(主義)に基づいた(主に)知的・精神「障害者」のコミュニティについてがテーマでした。

 そのため、原著となる『こんな夜更けにバナナかよ』は学部生の時に読んでいて、すごく衝撃と影響を受けつつ、論文でも引用させてもらいました。

 この映画は、その『こんな夜更けにバナナかよ』と同じタイトルになっていますが、描かれている内容は全く違うものです。
 『こんな夜更けにバナナかよ』は小説ではないからです。
 これは決して誰かを批判している訳でも責めているわけでもないので、もし、この映画の原作を知りたい、読みたいという方がいたら『こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話』を読んでいただければと思います。

 では、この映画では何が描かれているのかというと、鹿野靖明という1人の筋ジストロフィーを患う人を中心にした物語です。
 何度も笑い、何度も涙が出てきました。
 僕が読んだ『こんな夜更けにバナナかよ』とは違うものだとしても(そもそもが物語ではないので)、1人の人間が生きるとは、生ききるとはこれほどまでに力強いものなのかということを感じました。

 映画の作品としての良さは観てもらって確認してもらうとして、最後まで観たときに少なからず衝撃を受けたのは、鹿野さんが42歳で亡くなっているという事実です。
 僕が初めて本を読んだ時、多分20歳前後だったと思いますが、その時には既に鹿野さんは亡くなっていました。
 そして、今、映画を観た時、エンドロールに流れたのは「鹿野は2002年に42歳で亡くなった」ということ。
 初めて『こんな夜更けにバナナかよ』を読んだ時には遙か遠くにいるような鹿野さんの年齢に、今はすごく近いところにいる。

 そのことに、言葉にも出来ず、不思議な感覚でいます。
 憧れの人が亡くなった年齢と近くなった?
 いや、それは違う。

 なんだろう、この気持ち。
 よく分かりませんが、鹿野さんが亡くなった年齢に着実に近づいている自分にとって、なんというか、やっぱり、いつ死んでもおかしくないんだな、と再確認したというか、そんな気がしています。