映画と本と自分と山

映画が半分、残りは本と自分、時々山登りについて

提出書類の虚偽と隠蔽

 元配偶者との2回目の財産分与に関しての調停、ようやく元配偶者から保有している資産の開示がありました。
 調停の一番最初に元配偶者から提出された書類を渡されたものの、その場で初めて受け取ったこと、元配偶者以上に義母名で提出された書類が多かったこと、そして、おまけに調停委員(男性)が財産分与とは関係のない質問ばかりを繰り返してきたので、元配偶者から提出された書類の中身について話し合うことはできませんでした。

 

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 調停委員(男性)とのやりとりで結構疲れたので、帰ってすぐに提出された資料に目を通すことはできなかったのですが、数日経ち、元配偶者から提出された書類に目を通してみました。

 僕は4月に調停を申し立てるよりも前に、元配偶者とのやりとりで自分の資産を開示していて、今回の調停では、それを証明するための通帳のコピーや、生命保険の解約返戻金証明書などを取り寄せ提出しました。

 しかし、初めて提出された元配偶者から開示された資産一覧を見てみたところ、そもそも元配偶者が主張する保有資産一覧(手書き)と通帳のコピーに書かれている残高が違っていたり、関係のない時期の残高が記載されている通帳のコピーが大量に提出されていました。

 元配偶者が提出した手書きによる保有資産16項目の内、書類で確認ができたのが4項目、基準日と一致した日付の残高が確認できたのは1項目だけでした。

 そもそもこの「基準日」、調停で内縁関係の解消が双方で同意に至った7月末ではなく、元配偶者が僕を家から追い出した別居日にすることを求めたのは元配偶者でした。
 本来ならば調停で内縁関係の解消が双方で同意に至った7月末を基準にするところ、そこで争っても仕方がないと譲歩したにも関わらず、元配偶者は自分で主張した「基準日」さえ守っていませんでした。

 というか、日付が違うという虚偽だけでなく、ほとんどの項目で確認ができる書類がなかったり、関係のない書類が大量に提出されていたりと隠蔽しようという意図を感じます。
 目を通せばすぐにわかるこんなことをして、なぜ僕が気づかないと思うのかすごく謎なのですが、先延ばしと嘘ばっかりついてきて、どこかの国の政治家たちみたいですが、ここまで来ると自分が嘘をついていたり、隠蔽しているということさえも気付いていないのかも知れません。
 なんというか、身近にいすぎて感覚が完全に麻痺していたのだと思いますが、すごい人と一緒にいたんだな、と改めて感じています。

「白ゆき姫殺人事件」

 原作が湊かなえさんの小説(『白ゆき姫殺人事件』(集英社文庫))だということも知らなかったのですが、Amazonでの評価が結構高く、表示されたので気になって観てみた作品です。 


白ゆき姫殺人事件

 
作品データ映画.comより)
監督 中村義洋
製作年 2014年
製作国 日本
配給 松竹
上映時間 126分
映倫区分 G

あらすじシネマトゥデイより)
人里離れた山中で10か所以上を刺され、焼かれた死体が発見される。殺害されたのは典子(菜々緒)で、容疑者は化粧品会社のOL城野美姫(井上真央)。テレビディレクターの赤星雄治(綾野剛)は、美姫の同僚、家族、幼なじみなどに取材。典子が美姫の同期入社で、美人で評判だった一方、美姫は地味で目立たない存在だったことが報道され……。

勝手に五段階評価(基本的に甘いです)
★★★★☆

感想
 前半部分は、軽率な行動をする綾野剛演じる下請けテレビディレクターの赤星にイライラするというか、つぶやきの数に対してフォロワーが少ないにも関わらず、Twitterへのレスポンスがありすぎるような感じがしたり、その赤星が作ったVTRに基づいて展開されるワイドショーの様子などは、軽率という点でリアルな感じがしたものの、物語の展開としては単調に感じました。

 最終的にどうなるのかな、と思って観ていたら、後半になると、前半で単調に思われた様々な伏線が次々に回収されていき、それと同時に出来事の「真相」が明らかになるので、楽しめました。

 振り返ってみれば、予想を裏切るものでも、あっと驚くような展開もなく、同じものを見ていても、同じ出来事を同時に体験していても、自分が観ているもの、自分が感じたことと、他者が観ているものと感じているものは違う、という物語なのですが、印象に残るのは、井上真央の演技です。
 菜々緒も存在感を発揮しているものの、井上真央はあてがきでもしたのかと思うほど自然に、物語で語られる彼女が演じている人物そのものでした。

 また、意図的ではなくても、自分が見ているものと他者が見ているものが違う、ということよりも、ラストで、長年関わっていなかったけれど、2人にとって大事な共通した経験があるからこそ、何年経ってもつながり合うことができるし、支えることができるというのは、とても心温まるシーンでした。

与田基俟『あたらしい家族ができました。』

 週に1度必ず訪れる新聞の書評を毎回楽しみにしています。
 書評では単行本が多いので、小さく載っている文庫や新書の他、毎回ではないけれど載っている漫画の書評が結構楽しみです。
 そこで、タイトルからして、ちょっと気になる漫画が紹介されていました。
 

(コミック)『あたらしい家族ができました。』(1) 与田基俟〈著〉:朝日新聞デジタル


 書評を読んで気になったものの、まだ一巻しか出ておらず、実際に手に取るかどうか悩みつつ調べてみたら、ネットで公開されていました。
 

あたらしい家族ができました。 - pixivコミック | 無料連載マンガ

 
 ここで人気が出たので、出版されるようになったようなのですが、公開されていた全部の話を読んでみたら面白かったので、改めて漫画も手に取って読んでみることにしました。
 


あたらしい家族ができました。: 1 (comic POOL) Kindle版

 

  物語の内容は、父親を亡くし、叔父の家に引き取られることになった主人公の碧(あお)と、叔父である春軌(はるき)の物語です。
 叔父とは疎遠だったようで、碧の前に現れる叔父が女性の姿をしていたことに戸惑いつつも全身で彼女を受け入れる春軌と、それに少しずつ安心感を覚え、同時に春軌のことを理解しようとする姿が描かれています。

 まだ詳しく語られていない母親のことや、父親から託されて碧を引き取るほどの関係にも関わらず、今まで疎遠だったという設定には多少無理を感じるものの、ある意味でほとんど接点のなかった状態から「家族」というものを築き上げていく様子は、「家族」というものを考えさせる内容になっているように思います。
 また、もちろん驚きはするものの、初めて春軌を前にし、その存在を同級生たちにどの程度知られて良いのか悩む様子は、「女装している叔父」を知られたくないというものではなく、春軌がどのように受け止めるだろうか、ということが碧にとっての悩み中心になっていて、そのような描かれ方が、新しい時代に入ったのかも知れないと思いました。

 今までの社会では、「異質な他者」をどのように不特定多数の人たちに受け入れてもらうか、ということに焦点が当たっていたのが、この作品では「異質な他者」とされている人が不特定多数の人たちにその存在を知られたときに、その本人が「どのように感じるのか」という点に焦点が当たってます。
 その焦点の当たり方が、「異質な他者」という存在がいるということを前提にしているという点で、新しい時代に入ったのかも知れないと思ったのでした。

 これから母親や祖父(父と叔父春軌の父)との関係も描かれるようなので、どのように展開するのか楽しみにしたいと思います。

「グランド・イリュージョン 見破られたトリック」

 以前見て面白かった作品「グランド・イリュージョン」の続編がAmazonプライムで観られるようになっていたので観ました。


グランド・イリュージョン 見破られたトリック(字幕版)

youtu.be

 

映画『グランド・イリュージョン 見破られたトリック』オフィシャルサイト

作品データ映画.comより)
監督 ジョン・M・チュウ
原題 Now You See Me 2
製作年 2016年
製作国 アメリ
配給 KADOKAWA
上映時間 130分
映倫区分 G

ストーリー(オフィシャルサイトより)
ヒーローにして犯罪者、正義の犯関集団フォー・ホースメン。
新たなミッションは巨大IT企業の個人情報売買の暴露。
しかし、天才エンジニア、ウォルターに阻止されてしまう。
その裏には、ホースメンを利用して世界を大混乱に陥れる陰謀があった。
全てのトリックを破る科学の前になす術なく徐々に追い詰められるホースメン。
だが、最終決戦の地ロンドンで一発大逆転のスーパーイリュージョンを企てる。
果たしてイリュージョンVS科学、勝負の行方は?
そして、見る者全てが爽快にダマされる、驚愕の結末とは?

勝手に五段階評価(基本的に甘いです)
★★★☆☆

感想
 前作「グランド・イリュージョン」は、誰に操られているのかは分からないけれど、集められた4人のマジシャンたちがチームを組んで、そのマジックで世界を驚かしつつ、因縁のあった相手から財産を奪い、観客に分配するという義賊でありつつ、首謀者の個人的な復讐を遂げるという内容でした。
 最後まで首謀者が誰か分からなかった点や、どのような因縁があったのか、そして、終始様々なマジックが披露されることで、最後まで飽きることなく楽しむことができました。

 続編である今作の主要キャストはメンバーで唯一の女性だったヘンリー(アイラ・フィッシャー)が去り、新しく女性メンバーとしてルーラ(リジーキャプラン)が加わるものの、前作の「続き」が描かれます。
 前作から一年経ち、なぜヘンリーが去ったのか、どのようにルーラが加わったのかを冒頭で描き、物語が展開していくのですが、あまりにも前作の流れをそのまま引き継いでるが故に、前作の内容が頭にしっかり入っていないとこの作品だけを観ても「前作を観ていないからよく分からない」という部分が多くありました。

 また、前作では、終始飽きさせることのない様々なマジックだけでなく、そもそもの「首謀者」が誰か分からないということや首謀者の「意図」も分からないという点が、物語が展開するに連れて少しずつ明らかになる楽しさがあったのですが、今回は首謀者がすでに明らかになっていて、前作からの復讐劇なので、大きな謎を解き明かす楽しさというものはありませんでした。

 大規模なマジックも出てくるのですが、前作で解き明かしの役割を担っていて、復讐相手でもあったサディアスが今作では解き明かしという役割ではなく、彼による解き明かしがないことで、結局解き明かしが行われないままで放置されたマジックが沢山あったことで、前作の良かった所が悉く半減してしまっているように感じました。

財産分与調停2回目

 元配偶者から強制的に家から追い出されたすぐあとに家庭裁判所に調停申し立てを行い、その結果、7月末に元配偶者との内縁関係(事実婚)の解消と子どもたちとの面会について合意しました
 しかし、財産分与については合意できなかったので、改めて調停の申し立てを行い、2回目の話し合いが、1回目の2ヶ月弱後にありました。
 

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 今回で調停は通算4回目になりますが、初めて午後1時半から行われました。

 申立人待合室で待っていると、調停委員(男性)が呼びに来て、まずは最初の話し合いです。
 前回の調停で、財産分与の基準日となる日を決め、その基準日に基づいて、この調停の1週間前までに、自分の資産が分かるように、通帳のコピーなどを提出するように言われていました。
 僕自身が提出していたのは、通帳のコピー、基準日時点の投資信託の評価額証明書、生命保険の解約返戻金証明書です。

 僕が提出した書類については特に調停委員からはコメントはなく、受け取りましたということだけで、相手から提出された書類を手渡されました。
 調停を申し立ててから、半年以上、のらりくらりと提出を拒まれていた、元配偶者の通帳残高、投資信託の評価額、生命保険の解約返戻金が分かるようになりました。

 が、それと共に渡されたのが、義母の名前で提出された「報告書」なるもの。
 そこには、僕と元配偶者が法律婚をしてから、僕と元配偶者家族に「援助した」というモノと金額が日付と共に記載されていました。
 たとえば、義母から子どもたち(義母の孫)に買ってあげた本や、義母宅に子どもたちが泊まったときの食事代など、僕ら家族に対して義母が「援助した」(支払った)明細が載っていました。

 と、初めて元配偶者から資産の開示があったので、それだけで目を通すのが大変にも関わらず、義母からの「報告書」の束に戸惑っていると、調停委員から、義母の「援助」の中には、資産形成に対する「援助」になるものもあると説明があり、0にもならないし100にもならない(財産分与に全く含まない訳でも全部を含む訳でもない)とのことを言われました。
 また、同時に、元配偶者側が「養育する上でお金が必要だから2分割することはできない」と主張していることを説明されました。

 先に結論的なことを書くと、今回は、結局、提出された書類に目を通して何かを指摘するということは出来ず、終始これらの調停委員(男性)からの質問や意見に答えるだけで終わってしまいました。
 もう一度呼ばれたときはもっとひどかったのですが、今回の調停では、財産分与について申し立てを行っているにも関わらず、それとは関係のない、子どもたちとの面会や養育費について話をしてきて、それに反論するだけで終わってしまいました。

 たとえば「子どもたちと面会していないそうじゃないですか?」「子どもたちが父親に会うというのは、子どもたちの権利でもあるんですよ?」など。
 そもそも、今回の調停は、財産分与についてなので、面会の話は関係がないですし、その調停委員(男性)が元配偶者の話のみに基づいて、説教するように言ってきました。
 強制的に家から追い出されて、その直後から子どもたちに会わせて欲しいと元配偶者に何度も要求し、けれど、一番最初の調停が始まるまでは全く応じなかったこと、たまたま病院に行った帰りに子どもたちがいたので声をかけたら、元配偶者から「偶然などありえない」と子どもたちに近づくなと警告されたこと、それらの経緯など無視して説教してきたので、今回の調停内容ではない話ではあるものの、さすがに反論しました。

 こうした、今回の申立内容とは関係のない話ばかりで結局あっという間に自分の持ち時間としての1時間、元配偶者分と合わせての2時間が終わりました。
 ちなみに今回も、僕が最初の30分が終わったあとの元配偶者の話が1時間程かかり、調停委員に謝られました。
 けれど、「毎回のことなので構わないです」と言ったら、「毎回ですか…」と驚かれていました。
 僕は12年間一緒に生活していたので慣れというか免疫がありますが、普段接する機会のない人にとっては、ルールとかなんとも思わない人と関わるのは大変だろうな、と調停委員の方に同情しています。

「キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー」

 マーベル作品鑑賞、今回は「キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー」です。
 前回「マイティ・ソー/ダーク・ワールド」を観ましたが、そのすぐあとに公開された作品です。
 前回同様、TSUTAYAディスカスで一枚80円くらいだったときに借りました。

ちなみに【フェイズ2】の作品は以下の順番になっています。
アイアンマン3」(2013年公開)
マイティ・ソー/ダーク・ワールド」(2013年公開)
キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー」(2014年公開)
ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」(2014年公開)
アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン」(2015年公開)
アントマン」(2015年公開) 


キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー (字幕版)

 

youtu.be


キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー|ブルーレイ・デジタル配信|ディズニー


作品データ映画.comより)
監督 アンソニー・ルッソ
原題 Captain America: The Winter Soldier
製作年 2014年
製作国 アメリ
配給 ディズニー
上映時間 136分
映倫区分 G
上映方式 2D/3D

内容(ディズニー紹介ページより)
アベンジャーズの戦いから2年。アベンジャーズのメンバーであるキャプテン・アメリカ、ニック・フューリー、ブラック・ウィドウは、これまで共に戦ってきた仲間である国際平和維持組織シールドから、突然生命を狙われる。巨大な包囲網を逃れ、逃亡者となった彼らであったが、謎の暗殺者“ウィンター・ソルジャー”が立ちはだかる…。誰が味方なのか、そして真の敵は誰なのか?正義をかけた究極の戦いが幕を開ける。

勝手に五段階評価(基本的に甘いです)
★★★★☆

感想
 前回観た「マイティ・ソー/ダーク・ワールド」は宇宙での戦いで、それが自分としては世界観にうまくなじめない理由になっていたのですが、この作品、「キャプテン・アメリカ」では、舞台はもちろん地球なので、なじめない感じは全くありませんでした。

 物語の展開としても、ウィンター・ソルジャーの素顔が徐々に明らかになっていく様子と共に、変わってしまった(変えられてしまった)友人を見捨てることが出来るか、ということのスティーブの姿勢がとても良かったです。

 映画のように無理矢理記憶も肉体も改造されてしまう、ということは身近な出来事には感じないかも知れませんが、例えば病気によって、それまでとは性格が全く違ってしまったかのようになってしまったり、あるいは、事故や病気によって、記憶をなくしたり、肉体が大きく変わってしまって、それもあって、性格まで変わってしまう、ということは身近にある出来事です。
 そして、例えば認知症の症状が進んだパートナーや親が、性格が変わったかのようだけでなく、自分に向かって強烈な嫌悪や暴言、暴力をしてくる。

 自分が知っている相手はこんな性格じゃなかった、こんな人じゃなかった、と見捨てることが、自分の身を守る手段としては一番簡単で確実な方法です。
 けれど、パートナーや親を介護する多くの人のように、そんなに簡単に見捨てることはできません。

 スティーブはそういった相手、つまり、自分を殺そうとまで変わってしまった相手に対してどう向き合うのか。
 スティーブと友人との展開ではありますが、自分にとって一番身近な人間が何らかの病気や事故によって「豹変」してしまったときに、自分がどうするのか、という、どんな人にとっても身近な話題だと感じました。

 そのときの1つの大切なポイントだと僕が感じたのは、スティーブに「仲間」がいることです。
 以前からの仲間であるナターシャ、そして、新しく仲間に加わったファルコンの存在です。
 ひとりだけで向き合うことは難しく、自分にも支えてもらう人が必要で、だからこそ誰かを支えることが出来る。
 これがこの映画のメッセージかな、と感じました。

三浦しをん『あの家に暮らす四人の女』

 ラジオにもたまに出ている三浦しをんさんの小説を読んでみました。
 本当はラジオ番組に出ていた時に話題になっていたのは『ののはな通信』なのですが、そちらはまだ単行本なので、文庫で読める本の中で興味が沸いたこの作品にしてみました。
 ちなみに、先日観た映画の「風が強く吹いている」や「舟を編む」も原作は三浦しをんですが、小説を読むのは初めてです。

 


あの家に暮らす四人の女 (中公文庫) Kindle版

 
内容中央公論新社作品紹介ページより)
父を知らない佐知と母の暮らしに友人の雪乃と多恵美が加わり、笑いと珍事に溢れる牧田家。ゆるやかに流れる日々が心の孤独をほぐす。織田作之助賞受賞作。

勝手に五段階評価
★★★★☆

感想
 話の内容としては、1つの家に暮らす4人の女性たちの物語です。
 主人公の佐知とその友人雪乃は40歳近くで独身というか、パートナーはいません。
 途中、こんな切り替わりの仕方がありなの?という場面があるのですが、シリアスにこの独身やパートナーがいないということを描いている訳ではないことが、逆に今だからこそ、この作品で描かれるような、ゆるやかなつながりによる同居というものがリアリティを持つのかな、と観じました。

 特定のパートナーや子どもはおらず、かといって、自分の将来についてすごく不安を感じている訳でもない。
 だけど、誰かと一緒に生活するということに安心感を覚え、その緩やかなつながりを大切に生活していこうとする。
 この「ゆるやかなつながり」だとか、大きく言えば「新しい家族像」みたいなものを、また、佐知の母である鶴代がシングルマザーとして生きた時代そのものが、当時にとっては「新しい女性像」というようなものを描き出していました。

 個人的に興味を持ったのは、同じような年齢の佐知と雪乃が恋愛について交わす話の中に出て来た言葉です。

そもそも人間同士のあいだに真の理解は成立しない。だけど友人なら、相手のすべてを理解したいとも、相手に自分のすべてを理解してもらいたいとも、べつに期待しないでしょ。相手のなかに意味不明な領域があるのを感じても、『まあそういうもんか』と、むしろ余裕を持って自分とのちがいを楽しめる。だから相手が男でも、友だちであるかぎりは、理解が成立しなくても問題ない。

 
 上の言葉のように、パートナーと友人のような関係を結べることは理想です。
 けれど、友人とは恋愛関係にはならないわけで、性的な関係にはならない訳です。
 性とまで言わなくてもスキンシップとかの身体の触れあいも、生きる上でとても大切なことだとすると、友人のように暮らすことは難しくなってしまうのかな、と思います。
 それは、昨年ちょっと話題になっていたこの記事(→結婚1、2年目でレス。あいのり・桃さん「眠れない夜もあった」)とも関連します。

 「新しい家族」を描くと、他の小説でも今は性と結びつかない家族像を描くものを目にしますが、それを抜きにすることが本当に出来るのか?ということも、最後の展開で考えさせられるようになっていて、好感が持てました。