映画と本と自分と山

映画が半分、残りは本と自分、時々山登りについて

今の子供たちは性について進んでいる、か?

先日、NHKの「あさイチ」で「女性リアル「誰にも聞けない・・・子どもの性」」というテーマの放送がありました。

まだ、我が家の子供たちは思春期ではありませんが、長男T(7歳)も小学生になり、数年後には性的な興味も出てくるだろう、ということで、心の備えのために録画して観てみました。

たまにとても良い特集を組む「あさイチ」なのですが、今回も残念ながら誇張とまでは行かなくても、かなり煽る内容でした。

気になった箇所を全部突っ込むときりがないので、今回はパネルを使ってまで数字を上げて、あたかも今の子供たちは性行為経験者が多い、というようなことを言っていたことに対して、それは本当なのか?と考えてみたいと思います。

せっかくなので、あまたある突っ込み点の中の1つを紹介すると、

ケース1)小学3年の息子が父親が隠していたエロ漫画を読んでいたのを発見。

     母親である自分は内容(暴力的)に嫌悪感を感じるのでやめて欲しい。

     しかし、子供はまた隠れて読んでしまう。

     父親に話しても「そういう年になったか」と言うだけだった。

     どうすれば良いのか。

↑これは、僕には性に目覚めた子供とどう関わるかよりも、父親(パートナー)との性の認識のズレの方がまずいんじゃないか?と思いました。

番組の中で度々触れられていましたが、性に関しては、基本的に女性が弱い立場に立たされます。

女性も男性もそれを常に自覚しているべきで、往々にして男性は自身の暴力性を見過ごしてしまいます。

相談者(母親)はエロ漫画の中の【暴力性】に嫌悪しているにも関わらず、パートナーは全く気付いていません。

なので、何故母親が子供に見せたくないのか、本質的なことを理解していないので、すれ違ったままでした。

でも、スタジオもこれを「父親が子供の手の届くところにエロ漫画を置いているのが悪い」というような話で終わらせてしまって、そういう問題じゃないだろ、という感じでした。

さて、本題に戻って、今の子供たちは性に対して進んでいるか?ということについてです。

番組では、「高校生女子は4人に1人、高校生男子は7人に1人、中学生女子で20人に1人、中学生男子で25人に1人の割合でセックスの経験がある」とパネルを使って示していました。

そもそも、この調査は「セックスの経験」を聞いているわけではなく、「性的接触の経験」を聞いているのですが、そこは番組HPにも一応注釈があるので、深く突っ込むのをやめておきます。

が、気になったのは、この「高校生女子は4人に1人、高校生男子は7人に1人、中学生女子で20人に1人、中学生男子で25人に1人」という数字が「私たち(保護者)の時よりすごく多い!(増えている)」と言っていたことでした。

「それホントですか?」と。

で、言葉で反論しても分かりづらいので、番組で使われたのと同じ資料から「学生の性行為経験率」をグラフにしてみました↓

学生の性行為経験率0001

中学生に関しては、そこまで有意な増え方はしていないように僕には見えます。

1987年以前のことは分かりませんが、微増はしていますが、顕著な増加は見られません。

高校生に関しては、保護者の年齢にかなり左右されますが、僕は1999年4月に高校生になったのですが、2011年の結果とあまり変わりません。

むしろ、男子高校生に限って言えば、僕が高校生だったときよりも、経験者の割合が1割近く下がっています。

そして、中学生以外の、高校生・大学生に関しては、ずっと増加傾向だったものがピークへ達し、減少していっています。

僕自身はこの【ピーク】の時期に重なっているので、「本当に増えたのか?」と疑問に思わざるを得なかったわけです。

ちなみに、この【減少傾向】は学生だけではなく、他の世代でも見ることができます(未婚の20歳代前半の男性)↓

未婚者の性行為経験率0001

ついでに、性行為ではなくデートをしたことがあるか、という調査結果もあったので、そちらもグラフにしてみました↓

デート経験率0001

皆さんがどの世代に属するのかによって、「増えている」か「減っている」かは判断が分かれるところだと思います。

なので、単に「今の若い子たちは自分たちの頃と違って、早い時期からセックスの経験がある!」と半ば事実の異なることを言って煽るのではなく、アダルトサイトなどの「性への接触がたやすくなったこと」に焦点を当てる方が良かったのではないか、と思います。

僕自身、最近、中学3年生の女子が、無修正アダルトサイトの話をしていたのを耳にし、軽くショックを受けました。

ショックを受けたのは、性的なことに興味があるということではなく、それほど簡単にアクセスできる状況にある、ということでした。

(番組の中で井ノ原さんが言っていたように僕が子供の頃は紙&VHSが主流だったので、入手するのも大変、見るのも大変、隠しておくのも大変といった状況でした。)

今後、携帯だけでなく、タブレット端末やスマートフォンが1人1台というような時代になるかもしれません。

そうすると、僕たち保護者が見えないところで容易に今回の性だけではなく、あらゆる情報にアクセス出来るようになります。

その時に、「私たちの時代は~」と昔話をしていても前に進むことはなく(子供たちは違う時代を生きているので)、良い悪いを自分たちが生きていた時代に照らし合わせて勝手に判断することなく向き合っていく、そういう建設的な話をしたいなと思います。