映画と本と自分と山

映画が半分、残りは本と自分、時々山登りについて

8月に読んだ本(前編)

9月になりました。

先月書いた7月に読んだ本について(「7月に読んだ本」)に珍しく反応があったので、今月も恥をさらしたいと思います。

ちなみに、ちょっとだけ8月の振り返りみたいなことを書くと、夏休み中は常に誰かが具合が悪いような状況でした。

で、回復してきたと思ったら今度はお天道様の具合が悪くなってしまったようで、あまり外出する気にはなれず、だらだらと過ごすという夏休みになりました。

そして、8月31日には、もうこれで一通り終わっただろう、と思っていた伯父の財産分与について、まさかの叔母が弁護士を立てて、手紙を送ってくるという事態に。

叔母は何をしたいのか分かりませんが(父と絶縁したいのでしょうか…。そして、お金をより多く取りたいというのなら弁護士なんかに頼んだら手付金と成功報酬で相当取られてしまって結果的に少なくなってしまうのを理解しているのだろうか。。。)、法的に瑕疵のないように進めてきた父は怒りとともに困惑しています。

ということで、僕自身も具合が悪くなったり、子どもたちも具合が悪かったり、体調が戻っても子どもたちはどこにも出かけずグダグダしていたので、「来月は本をもっと読みます!」とか先月書きましたが、結局あまり読めませんでした(言い訳)。

では、読んだ順に書いていきます。

なぜ、この人と話をすると楽になるのか

自己啓発系の本はほぼ読まないのですが、久しぶりにそういう系の本を読みました。

何故かというと、先々月にAmazonプライムデーというものを開催していて、そのときにKindle本を無料配信していたからです。

選べる本が8冊からとかかなり少なかったので、その中で一番レビューの評価が良かったこの本を読んでみました。

(それと、著者の名前が僕と一文字違いということに親近感が沸いたのもあります。)

読んだ感想ですが、自分を鼓舞したり、大きく見せるような方法が載っている自己啓発系は本当にアレルギーを起こすのですが、これは「いかに他人とスムーズに会話するか」ということの【技術】を丹念に書いていたのでわかりやすかったです。

普段、あまり多くの人と会うわけでもなく、ひょっとすると引きこもりがちな生活をここ数年送っているので、他人と会話するスキルがかなり低くなっているなぁ、と思っていたので、とても良い内容でした。

男しか行けない場所に女が行ってきました

これは「母がしんどい」が有名になった田房永子さんの本です。

僕も「男しか行けない場所」には行ったことがないので、どんな本なのか興味があったので読んでみました。

これは風俗の話というよりも、「女性の視点」で男の世界を見ているということが一番のポイントだと思います。

たとえば、小さな子どもがいる男性が風俗に行くために普段から【終電帰り】をしているという話に、著者は風俗に行き、そして、風俗に行くために毎日のように(仕事がない日でも)【終電帰り】をしている男性に向かって、「じゃあ、奥さんはいつも子育てをひとりでやっているんですね」と言います。

この著者の問いかけに対する、その男性の反論が滑稽というか、気持ち悪かったのですが、でも一方で「こういう男性はきっと世の中には多いんだろうなぁ」と思ったりもします。

他にも「”健康な”男たちはいつでも、自分を軸にものごとを考える」だとか、電車内で女子高校生を見て勃起した股間を揉んでいる男子中学生と「60代でも現役!」とかいうような記事タイトルを大きく載せた雑誌の中吊り広告との関連を指摘したり、見知らぬ男による強姦が【自然災害】のように扱われ、知人による強姦だと「女性が許した」と女性の問題だとされてしまうと指摘したり、否が応でも自分自身が【男性】であるということを突きつけられるものでした。

その中には、簡単には「自分はそういう男とは違う」と言い切れないのではないか?と自問させるものもあり、単に「男しか行けない場所ってどうなってるのか知りたい」というような動機で読み始めたので、頭をがつんと殴られたような気がしました。

それは、自分が【男】であるということを自覚させられるものであり、自分がそういう【男】とは違うと認識するものでもあり、それでもやはり自分自身の中にある【男】というものの、気持ち悪さ、暴力性を浮き上がらせ、でも、そこからどうやっても自分が逃れることが出来ないということを突きつけてくるものでした。

それを端的に言っているのが次の文章でした。

どうしてそんなにエロ本や風俗が必要なのか、性犯罪や痴漢を犯す人が圧倒的に多い側の性別に属しているということはどういうことなのか、考え出したらきっと、都合が悪いことがいっぱいあるんだと思う。

男性漂流 男たちは何におびえているか (講談社+α新書)

確かこの本は、新聞の書評を読んで興味が沸き、ちょうどその頃に新宿に用事があり紀伊國屋書店に行ったら沢山並んでいたので手に取ってみました。

この本あたりから、僕の中で【男】だとか【男のつらさ】みたいなものが少しテーマになってきて、それに関する本をここから読むようになりました。

この本の中で「イタイ」(あるいはつらい)と思ったのは、「イクメン」ブームによって、育児にも頑張ってしまう男性の姿でした。

仕事も大変なのに、「育児は当然のつとめです!」とがんばり、イクメンとして活動する中では決して「仕事のつらさ」は家族にも見せないというもの。

これは育児でも仕事でも関係なく、男性の多くの人にあてはまるのですが、「つらい」とは決して言わず、自分自身でつらさを抱え、周りの人が気づいた時にはもう取り返しの付かない所にいる、ということです。

イクメン」の中で出て来た男性も、仕事がうまくいかず、辞めなければいけないという段階になって初めてそのことを家族にも言うというものでした。

【男性のつらさ】というものに注目して読んでいますが、その【つらさ】の中には、男達が勝手に背負い込んでいる【つらさ】もあるのんじゃないかぁ、と僕は思っています。

つらい時に「つらい」と言える環境をいかにつらくない時に構築していくか、それが大切なことのような気がします。

ちなみに、この本は何年にも(時には10年とか)及ぶ取材に基づいて書かれていて、著者の意気込み(執念?)がとても伝わってきます。

と、ここまで書いて疲れてきたので、明日残りの半分を書きたいと思います。