映画と本と自分と山

映画が半分、残りは本と自分、時々山登りについて

「風が強く吹いている」

 劇場公開から10年くらい経った作品ですが、以前読んだ木皿泉さんのエッセイで触れられていて、Amazonプライムにあったので観てみました。
 主演が同世代(友人の元同級生)の小出恵介で、未成年者との性行為で引退状態なのですが、アニメが2018年の秋から公開されたこともあって、この作品も観られるようになっていたのかと思います。 

 


風が強く吹いている

 
作品データ(映画.comより)
監督 大森寿美男
製作年 2009年
製作国 日本
配給 松竹
上映時間 133分

ストーリー公式サイトより要約) 
ついに、ハイジ(小出恵介)は見つけた。共に夢を叶える仲間の、切り札にして、最後の1人を。彼の名はカケル(林遣都)、18歳。ハイジが4年生になる寛政大学に、この春から通う新入生だ。高校時代に天才ランナーと呼ばれた彼の走りをその目で確認したハイジは、戸惑うカケルを半ば強引に、自らが寮長を務める竹青荘に入居させる。まかない付きで3万円という破格の家賃には、陸上競技部に入部して毎朝5キロ走るという入居条件があった。
「10人で力を合わせて、箱根で頂点を目指そう!」
ハイジの突然の箱根駅伝出場宣言に、唖然とする9人。それもそのはず、ハイジとカケル以外は全員、陸上とはかけ離れた者ばかりだ。ニコチャン(川村陽介)は、2浪に1留で25歳のヘビースモーカー。法学部のユキ(森廉)は、すでに司法試験に合格済みの頭脳派。ヴィジュアル系の顔立ちから、その名がついた王子(中村優一)は、愛する漫画の山の中で暮らす漫画オタク。キング(内野謙太)はクイズオタクの雑学王で、やたら日本語がうまいムサ(ダンテ・カーヴァー)は、アフリカからの超マジメな国費留学生。神童(橋本淳)は心優しい性格で、竹青荘の良心と呼ばれている。新入生のジョータ(斉藤慶太)とジョージ(斉藤祥太)は、女の子にモテることしか考えないお気楽な双子の兄弟だ。
一応監督である竹青荘の大家・田崎(津川雅彦)のゆるい励ましも受け、翌朝から箱根を目指す日々が始まった。

勝手に五段階評価(基本的に甘いです)
★★★★☆

感想
 第一印象は、同じようなスポーツを扱った日本の映画「チア☆ダン 女子高生がチアダンスで全米制覇しちゃったホントの話」を観たばかりだったこともあって、そちらとの対比になるのですが、お金をかけているな、ということでした。

 寛政大学だったり、陸上競技部の量でもある竹青荘といった設定こそフィクションですが、目指すのは箱根駅伝なので、実際の箱根駅伝の様子や、箱根駅伝に出場するための予選会の様子がふんだんに盛り込まれていました。
 その実際の映像と遜色がないように、寛政大学の選手たちが走る場面では、沿道には多くの応援する人たちがいて、架空の大学名の旗やのぼりをもった人たちがたくさんいました。
 これらの人たちを集めるだけでも大変だったのではないかと思います。

 また、「チア☆ダン」では、3年間の様子が描かれていましたが、この作品では1年弱の様子が収まっているので、物語としても詰め込みすぎということもなく、ちょうど良いボリュームだったように感じました。

 けれど、寛政大学陸上競技部のキャラクターに関しては、それぞれが際立っており、箱根駅伝に関しての様子がリアルだからこそ、そのリアルな感じからかけ離れたように感じてしまいました。
 ヘビースモーカーの長距離ランナーはもちろんのこと、運動からかけ離れていた人たちが毎日走るようになったとしても、いきなりすぐに箱根駅伝に出られるのか、というとそんな甘くないだろう、と。

 元々は小説なので、小説として読めば、フィクションとして、選手たちのキャラクターや置かれている環境も受け入れられるものの、この映画では、リアルな場面がふんだんに映し出されることで、フィクションの部分とリアルな部分とのギャップが鮮明になりすぎている印象でした。

 それでも、良かったのは、俳優たちが結構走る練習をしたんだろうな、という身体をしていたことです。
 特にエースの位置づけである林遣都は走る姿も身体も本当の長距離ランナーのようで、そこからも、この映画を作った人たちの本気度が伝わってくるような気がしました。