映画と本と自分と山

映画が半分、残りは本と自分、時々山登りについて

「ネブラスカ ふたつの心をつなぐ旅」

好き嫌いがはっきりする映画かも知れませんが、今日はこの映画についてです。

 

ネブラスカ ふたつの心をつなぐ旅 [DVD]

 

全編モノクロ、そして、ストーリーも認知症(愛嬌のある言い方をすればボケてしまった)の父親が「100万ドル当たったから受け取りに行く!」と言って聞かないので、息子が同行して「100万ドルは当たってなかった」ということを父親と確認しに行く旅という、地味なものです。

 

今の時代だと全編モノクロというだけで、好みが分かれてしまうかも知れません。

 

が、僕は割とこの映画好きです。

最初から最後まで、「ボケたオヤジに振り回される息子」はなかなか大変なのですが、少しずつ「オヤジってなんかかわいいもんなんだな」と理解していくというか体感していく様子が伝わってくるようでした。

「100万ドル当てたから受け取りに行くんだ!」と行く先々で言いふらしてしまい、その金にくらんで近づいてくる人たちが沢山いて、それはそれでかなり面倒な事態を息子らに降りかかるわけですが。

「オヤジってなんかかわいいな」というのは、子どもを見る視線に近いものがあって、「元アル中のボケたオヤジ」はもちろん決して「自分の子ども」にはなることはないものの、その無邪気さや素直さは子どものように映ってきます。

 

そして、オヤジのその無邪気さや素直さに触れながら、自分自身も無邪気さや素直さに触れ、家族そろって(兄弟で)親も驚くようなバカなことをしたりしています。

 

あまりネタバレ的なことを書きたくないので、観ていない人にはあまり伝わらないかも知れませんが、「ボケたオヤジ」につきあうことによって、息子も癒やされ、回復し、「ボケたオヤジ」自身も癒やされ、回復していくという物語に僕には見えました。

 

現実的な問題として捉えるとしても、「ボケたオヤジ」や「ボケたお袋」というのは、近い将来やってきてもおかしくないので、そのときにどう向き合えば良いのか、ということを教えてくれているようにも思いました。

 

勝手に五段階評価(基本的に甘いです)

★★★★☆

 

2014年に観た映画ランキング

「それでも夜は明ける」 2「そして父になる」 3「ネブラスカ」 4「小さいおうち」