映画と本と自分と山

映画が半分、残りは本と自分、時々山登りについて

「アデル、ブルーは熱い色」

最近もまたツレに「Bが訳の分からない映画を予約リストに入れてる」と言われました…。

TSUTAYAディスカスから送られていたので、「旅に行く前に見てね」と言われ、ささっといくつか見ました。

 

アデル、ブルーは熱い色 [DVD]

 

2013年のカンヌ国際映画祭で最高賞であるパルム・ドールを獲得したということで気になったので借りました。

 

内容は、アデルという女性を主眼として高校生の時から社会人になって数年経つまでの物語です。

その高校生の時に出会い、社会人になっていくらか経つまで一緒に生活していたエマとの関係が描かれています。

 

DVDジャケットの青い髪の方がエマです。

アデルよりも年上で、出会った時には美術学校の生徒、別れる間際までは駆け出しの画家でした。

 

何故別れることになったのか、その話が後半のメインなので触れませんが、僕が興味深かったのは、同性愛への嫌悪が露骨に現れていたことです。

僕だけかも知れませんが、なんとなくフランスは「同性愛に寛容」という風に考えていましたが、アデルがエマとつきあい始めた時に同じグループだった女の子が露骨に嫌悪しケンカになり、また、エマを家族に紹介するときも「彼女」であることを隠し、社会人になって一緒に生活しているのに職場の人たちにも隠し、と言ったように、アデルは自分が同性愛(というか女性がパートナー)であるということを隠していきます。

 

フランス人女性と結婚した女性の本(『百合のリアル』)を読んでいたからか、フランスは「同性婚も認められているし、同性愛に寛容なはず」という思い込みがありました。

 

でも、少し立ち止まって考えれば分かることでしたが、同性婚が認められていても嫌がる人はいる、という当たり前のことを気づかせてくれました。

 

 

この映画、レビューなどで見ると大体評価が高いのですが、僕がこの映画で「良いな」と思ったのは、アデルが様々な人との関わりの中で「揺れている」ということです。

 

エマと出会う前、グループの女の子たちに半ばけしかけられ1つ先輩のトマと付き合って、セックスするけれど、でもしっくりこない。

エマと出会い、付き合い、生活を共にするけれど、エマが違う女性と親しくしているのを見たり、エマの態度からずっと誘われていた同僚の男性と関係を持ってしまう。

 

「アデルは同性愛」あるいは「アデルはバイセクシャル」という風に枠にはめることなく、高校時代なら自分のセクシャリティに悩み、そして、大人になってからは自分のアイデンティティや存在意義に悩むという、その揺れている様子がとても人間としてのリアルを感じさせるものでした。

これは「アデルは同性愛」「アデルはバイセクシャル」というような枠にはめていたら描けないもののように感じました。

 

 

ですが、1つネガティブなことを書くとアデル役のアデル・エグザルホプロスがまだ幼く、高校生役なら良いのですが、社会人になってからの描写はどうしても違和感を感じてしまいました。

大人に見えるコスプレをしている高校生のような。

 

あと、もし、子どもと一緒に見ようかな、と思う人がいたら、アデルやエマの裸やセックスシーンがいくつかあるので注意した方が良いかな、と思います。

そういうシーンを見ても全然いやらしさはない(というか僕は少なくともまったく感じなかった)のですが、念のため。

 

勝手に五段階評価(基本的に甘いです)

★★★★☆

 

2015年に観た映画ランキング

1 「ダラス・バイヤーズ・クラブ」 / 2 「ザ・マジックアワー」 / 3 「あなたを抱きしめる日まで」 / 4 「アデル、ブルーは熱い色」 / 5 「テルマエ・ロマエⅡ」 / 6 「そこのみにて光輝く」 / 7 「ドラえもん のび太のスペースヒーローズ」 / 8 「恋人はセックス依存症」 / 9 「地獄でなぜ悪い」 / 10 「誰も守ってくれない」 / 11 「鈴木先生」 / 12 「ミニミニ大作戦」 / 13 「エヴァの告白」 / 14 「機関車先生」 / 15 「マレフィセント」 / 16 「ロボジー」 / 17 「なくもんか」 / 18 「見えないほどの遠くの空を」 / 19 「ノア 約束の舟」