映画と本と自分と山

映画が半分、残りは本と自分、時々山登りについて

「パレードへようこそ」

ゴールデンウィークに、ゴールデンウィークに相応しい、心に残るとても良い映画を観ました。

先月末にTSUTAYAディスカスから送られてきたDVDを連休中に観ようということで、この映画を観ました↓

 

パレードへようこそ(字幕版)

 

映画「パレードへようこそ」オフィシャルウェブサイト

 

作品データ映画.comより)

原題 Pride

製作年 2014年

製作国 イギリス

上映時間 121分

 

ストーリー(オフィシャルサイトより要約)

1984年、不況に揺れるイギリス。

サッチャー首相が発表した20カ所の炭坑閉鎖案に抗議するストライキが、4カ月目に入ろうとしていた。

ロンドンに暮らすマーク(ベン・シュネッツァー)は、その様子をニュースで見て、炭坑労働者とその家族を支援するために、ゲイの仲間たちと募金活動をしようと思いつく。折しもその日は、ゲイの権利を訴える大々的なパレード(プライド・パレード)があった。

パレードの後、打ち上げパーティで、マークは“LGSM(炭坑夫支援レズビアン&ゲイ会)”を立ち上げる。だが、参加を表明したのは、たった9人だった。

バケツを手に街角で集めた寄付金を送ろうと、全国炭坑労働組合に連絡するマーク。ところが、何度電話しても「レズビアン&ゲイ会」と名乗ると、「後でかけ直す」と切られてしまう。

「炭坑に直接電話すればいいんだ!」

マークのアイデアで、ウェールズの炭坑町ディライスの役場に電話すると、あっさり受け入れられる。

数日後、ディライス炭坑を代表してダイ(パディ・コンシダイン)がロンドンまで訪ねてくる。「それでLGSMって何の略?」と訊ね、Lはロンドンの略だと思っていたと唖然とするダイ。だが、その夜、生まれて初めてゲイ・バーを訪れたダイは、大勢の客の前で「皆さんがくれたのはお金ではなく友情です」と熱く語る。

ダイの感動的なスピーチのおかげでメンバーが増え、LGSMはディライス炭坑に多額の寄付金を送る。

ディライスでは支援者への感謝パーティを企画した委員長のヘフィーナ(イメルダ・スタウントン)は、「絶対にもめごとが起きる」という反対を押し切ってLGSMの招待を決定する。

バンに乗って、ウェールズへと出発するLGSMメンバーたち。

委員長のヘフィーナや書記のクリフ(ビル・ナイ)が温かく迎えてくれるが、会場を埋める町人たちの反応は冷ややかで、マークのスピーチが終わると、続々と退場して行く。しかし、翌日になると、好奇心を抑えきれない人々が、彼らに様々な質問を投げかける。「どちらが家事をするの?」など無邪気な疑問に答えるうちに、互いに心を開き始めるLGSMメンバーとディライスの住人たち。さらにジョナサンがダンスを披露、歓迎会は大喝采のなか幕を閉じる。

だが、組合と政府の交渉は決裂、ストは42週目に入り、サッチャーは組合員の家族手当を停止する。再び町を訪れたマークたちがさらなる支援を決意した矢先、町人の一人が新聞に密告、「オカマがストに口出し」と書き立てられ、LGSMからの支援を打ち切るか否か採決がとられることになる。今や町人たちと深い友情で結ばれたメンバーたちは資金集めのコンサートを企画するが、その先には思わぬ困難が待ち受けていた──。

 

感想

ゴールデンウィークになぜ相応しい映画なのかというと、連休中東京では『東京レインボープライド』というイベントが開催されているからです。

「東京レインボープライド」というのは、「特定非営利活動法人 東京レインボープライド」が、「『らしく、たのしく、ほこらしく』をモットーに、性的指向および性自認(SOGI=SEXUAL ORIENTATION, GENDER IDENTITY)のいかんにかかわらず、すべての人が、より自分らしく誇りをもって、前向きに楽しく生きていくことができる社会の実現をめざ」す一環として開催されているイベントです。

 

特定非営利活動法人 東京レインボープライド

 

年々参加者が増えているようなので、訪れたことのある人や、新聞などのメディアで目にしたことのある人もいるのではないかと思います。

 

ゴールデンウィークにこの映画を観ることになったのは、「東京レインボープライド」が開催されているからということとは関係なく、たまたまTSUTAYAディスカスから送られてきたからなのですが、たまたまであってもこの時期に観て本当に良かったです。

 

映画の内容は、上に載せたオフィシャルサイトのストーリーに詳しく書かれているので、説明の必要はほとんどありませんが、僕が生まれた年に、イギリスで実際に起きた出来事を扱っています。

1984年からの1年間の出来事、次の年の1985年のプライド・パレードまでの様子が描かれています。

 

この映画が良かったのは、炭鉱のストとレズビアン、ゲイといったセクシャルマイノリティの社会的・政治的活動に焦点が当たりつつも、そこに登場する人たちの1人1人が抱えている「問題」や、抱えざるを得なくなった「問題」にもしっかりと焦点が当たっている点です。

 

募金活動をしている中で激しい暴力を振るわれてしまい入院するということや社会と個人の両面に渡ったものですし、イギリスで2番目にエイズ患者とされた人物、また、両親にカミングアウト出来ずに活動し、それが知られてしまい両親や家族との関係を0からやり直そうとする青年、16年間口をきいていない母親との関係を修復しようとする人物…。

また、彼らLGSMのメンバーに触れ、長年の友人にゲイとカミングアウトしたディライスの人物。

 

ゲイやレズビアンの団体の活動なので、ゲイやレズビアンといった性的指向が出て来ますが、親子の関係などは、たとえ性的指向ヘテロセクシャル異性愛)であっても出てくる「問題」なのだと思います。

子どもの人生を自分たち親が想像出来る範囲でコントロールしたいと望み、子どももある程度それに従っていこうとする。

 

でも、「自分」というものを考えはじめたり、歩み始めたときに、今まで従っていた親の考えやコントロールには従えなくなる。

表面上の大きな問題としては、ゲイということがあるかも知れませんが、それはたとえゲイでなくてもいつかこの親子の関係の中では起きた問題、あるいは衝突なのだと思います。

 

他にも、イギリスで33年前にあった出来事に感動すらするのですが、異国の出来事とは言え33年経った今、日本ではどのような状態かというと暗澹たる気持ちにならざるを得ません。

が、暗澹たる気持ちになりつつも、先に書いた「東京レインボープライド」のような活動が年々参加者が多くなり、社会への影響力も大きくなってきていることを考えると、大きな希望もあるなと感じます。

 

勝手に五段階評価(基本的に甘いです)

★★★★★

 

2017年に観た映画ランキング

 

1 「わたしは、ダニエル・ブレイク」 / 2 「さとにきたらええやん」 / 3 「この世界の片隅に」 / 4 「ムーンライト」 / 5 「パレードへようこそ」 / 6 「あまくない砂糖の話」 / 7 「少年と自転車」 / 8 「ドラッグ・ウォー / 毒戦」 / 9 「シチズンフォー スノーデンの暴露」 / 10 「帰ってきたヒトラー」

 

11 「SING/シング」(日本語吹替版) / 12 「奇跡の教室」 / 13 「ベティ・ブルー」 / 14 「ミッドナイト・イン・パリ」 / 15 「神様の思し召し」 / 16 「her/世界でひとつの彼女」 / 17 「マグノリア」 / 18 「プリズナーズ」 / 19 「if i stay」 / 20 「ハドソン川の奇跡」

 

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