映画と本と自分と山

映画が半分、残りは本と自分、時々山登りについて

父親はどんなに育児をしても女性の2割!?

久しぶりに時事ネタです。

働くママ&パパに役立つノウハウ情報サイト】と銘打っている日経DUALにこんな記事が載っていました。

地域やPTA活動に仕事の流儀を持ち込むな

(もしかしたら全文読むのは無料の会員登録が必要かもしれません)

保育に関する問題にライター、ジャーナリストとして関わってきた猪熊弘子さんのインタビュー記事になっています。

なので、猪熊さん自身が書いた記事ではないので、タイトルも煽り気味だし、猪熊さんの発言もかなり偏っているのかもしれませんが、タイトル同様、かなり【偏っている】印象で気になりました。

そもそも、猪熊さん自身に関しては、著書の『死を招いた保育―ルポルタージュ上尾保育所事件の真相』、育児雑誌『母の友 2014年 05月号』での哲学者國分功一郎さんとの対談もよかったので(以前少しだけ触れました)、僕としてはそれなりに良い印象を持っていました。

が、周りのFBでつながっているパパ、ママたちが「これはないわー」っていう反応だったので、読んでみました。

これはないわー。

前述したように、いくらライターが煽り気味だったとしても、気になる言葉がいくつも出て来ました。

あえて一つずつ触れてみたいと思います。

子どもを産めない、母乳も出ない父親が、母親の育児を半分も軽減できると考える時点でおこがましい(笑)。どんなにやったつもりでも2割だと思う。

こういう発言は、【3歳児神話】にも通じますが、僕なんかの素朴な質問としては、【母親がいない家庭はじゃあどうなるの?】ってことなんです。

【母親がいない家庭は少数】と言って切り捨てるのでしょうか。

これは【母親】なら殆どの人は実感があるかと思いますが、出産は【命がけ】なので、出産時に母親が死ぬことも(胎児が死ぬことも)あります。

そうでなくても、小さな子どもを残して病気で母親が死んだり、3組に1組離婚する時代なので小さな子どもを父親が育てることもあります(現に両方とも僕の周りにもいます)。

それらの人たちはあくまでも【例外】とでも言うつもりでしょうか?

「約20年以上保育問題を取材してきた、ジャーナリスト」ならば当然これらの人たちの存在を知っていますよね?と。

次に

会社のルールを持ち込んだり、便利なITを導入しようと奔走し、その場を円滑に収めているつもりでいて、かえって周囲の関係性を悪くしているパパ&ママも少なくない」(中略)

保育園や学童、PTAの集まりをはじめ、子どもがいる世界というものは決して自分の思うように物事が進まない、会社とは真逆の極めて非効率な世界なんです

言わんとしていることは分からなくはないです。

空回りというか、仕事をしている人が「自分の仕事上の経験を過信し、空回っている」ことは確かにあると思います。

そして、「子どもがいる世界」は「自分の思うように物事が進」むことはありません。

なので、こういう意味での発言だったら、反発は覚えませんし、実際にそうだと思います。

しかし同時に【だからといって、(特に)PTAがそのままで良いとは思えない】というのも現状だと思います。

僕が経験しているPTA活動は少しだけですし、それだけで全体を見ることはもちろん出来ませんが、現状のPTAがそのままで肯定されるような組織かというとかなりの疑問です。

基本的に【母親】で成り立っているのに、会長は【父親】だったり、共働き世帯が専業シュフ世帯を超えているにも関わらず【PTA活動は基本的に平日昼間】だったり。

あまりにも【専業主婦】を前提とした組織になっているために、共働き世帯には【非効率】だったり、【関わりづらい】こともあるのではないでしょうか。

たぶん、このインタビュー記事を書いた記者も書きたかったことは後半部分に出てくる「仕事は取り戻せる時期が必ず巡ってくるから安心して」とか「時短勤務になって、たとえ給料が減ったとしても、給料に代えられない子育てという選択をしていると考えてほしい」とかいうことなんだと思います。

なにせ【働くママ&パパに役立つノウハウ情報サイト】ですから。

でも、それまでの部分の猪熊さんの育児における男女観が前世代的過ぎて、(僕含めて周りの人たちは)反発を覚えたのだと思います。

【男性も育児に関わってほしいが、あくまでもメインは女性ですよ】という感覚に。

しかし、こう考えてしまうのも仕方がないのかな、という発言もありました。

パパのための勉強会と称した交流会が増えていますが、飲み会をしている暇があったら妻が喜ぶモノでも買って早く帰ってほしい、というのが本音

僕もこれは完全に同意します。

「交流会」だとか【懇親会】だとか称した「飲み会」の多いこと。

僕自身(そしてツレも、かつ僕の父親も)がそもそも「飲み会」には殆ど行かず、毎朝・夕食は殆ど家族そろって食べているので(僕の父親は帰宅は遅かったですが、家で夕食を食べてました)、男性だけでなく世の中のサラリーパーソンの飲み会の数にはいつも驚いています。

少し話がそれますが、シュフ目線で言うと【外で食事(飲み会)してたら金かかるでしょ】というのも気になりますし。

【酒を飲まないとコミュニケーションが取れない】というのも【それおかしくない?】と思いますし、【飲み会】があたかも【仕事の延長】かのような現状にも疑問です。

仕事が終わったなら、家に帰って家族と過ごそうよ、と。

っていうか、「多くのワーキングマザーは、時間が来たら、キリが悪かろうがなんだろうが、PCをパタッと閉じて、保育園のお迎えに行」っているのに、なぜワーキングファザーだけは未だに【仕事>家庭】という前提のままなのか、と。

この辺のことを目の当たりにしすぎて、猪熊さんは【男性に育児を求めることをあきらめているのかな】と思いました。

どちらにせよ、この煽りタイトル、と前半の煽り気味なインタビューの切り抜きはとても【働くママ&パパに役立つノウハウ情報サイト】が載せるものとは思えませんね。

品がなさ過ぎというか、いらない対立をあえて生んでいるように思います。