映画と本と自分と山

映画が半分、残りは本と自分、時々山登りについて

『毒になる親』

虐待関連の本を読んでいますが、定番(?)の本のことを書いていなかったので書いてみたいと思います。

 

毒になる親 一生苦しむ子供

 

最近、日本でも「毒親ブーム」とも言えるような状況になっていて、「毒親」というキーワードで検索すればいろんな本や漫画、それにTVに出てくるような人が出て来ます。

その、TVに出ているような人だったり、本や漫画を書いている人たちを批判したりする意図は全くないのですが、僕自身が気になるのは、それらの人たちがことごとく【女性】だということです。

 

性虐待もそうなのですが、性虐待の被害者で声を上げていていたり、支援活動の対象になっているのが【女性】になっていて、【男性】の被害者がいるにも関わらずなかなか見えてきません。

今のこの日本の「毒親ブーム」も【女性だけ】の話になっているような印象を受けています。

 

それは体育会系の部活動などでも(これは親によるものではありませんが)、【鼓舞するため】という理由で、叩いたり、蹴ったり、あるいは肉体的にそのようなことをしなくても、厳しい言葉を投げかけられることがあります。

そういうことについて「それはおかしい」だとか「そういうのはイヤだ」ということを言えば、「男のくせに」だとか「女々しい」だとか言われてしまいます。

 

たとえば先日もこういう記事が流れていました↓

【これはひどい】日ハム中田選手のチームメイトへ嫌がらせにファンから失望の声が

今治西監督の処分上申 出場校選考への影響は否定 日本高野連

これに対して、「何をこの程度のことで」だとか「監督は友人でとてもいい人」という擁護の意見を少なくない数目にしました。

プロ野球選手や高校野球の監督でさえこの状況で、【親】だったらどうでしょう?

体罰をしたとしても、「親なら愛情を持っているはず」だとか「しつけの範囲だろう」とか言って片付けられてしまうのではないでしょうか。

 

こういう土壌がある中で、【男性】が親から受けたひどい仕打ちはなかなか素直に他人に言うことが出来ない状況にあると僕は思っています。

【女性】が言えば「つらかったねぇ」と言われることも、【男性】が言えば「何を未だにそんなことを言ってるんだ」と言われてしまうのです。

 

本の内容からずれているように感じるかも知れませんが、この【男性】【女性】の差について、受け手の子どもにとっては性別は関係がない、ということに気づかせてくれるものだと僕は感じました。

この本の中で出てくる、親から受けた行いで深く傷ついている人には【男性】も【女性】も出て来ます。

 

【男性】【女性】ということを気にしないで読む人も多いかも知れませんが、男性だろうが傷つく人は傷つくし、それは【男性】【女性】という性別は関係のないことです。

日本という文脈に照らし合わせたとき、この本に登場する人たちが【男女関係なく】出てくることで、逆に日本ではいかに【男性】と【女性】が区別されているか、浮き上がってくるように感じます。