『スクールセクハラ』
前から気になっていた本ですが、ようやく読み始めたと思ったら、内容に引き込まれ、あっという間に読み終わった本について書いてみたいと思います。
仕事にも関係することなので、気になっていた本です。
「スクールセクハラ」という言葉はこの本で初めて知りましたが、殆どの人にとっては聞いたことがなくても、言葉通りの意味になると思います。
学校で起きるセクハラです。
元々は新聞に連載していたものを本にまとめたというものなので、多少説明が重複する場面はありますが、とても読みやすいものになっていました。
実際に被害に遭った人だけでなく、加害側にもインタビューをしていて、とても丹念に取材をしているように思えました。
(実際の被害を報告する内容でもあるのでこういう言い方が相応しいのかはわかりませんが)この本で良いな、と思ったのは、終わりに近い「第五章 届かない悲鳴」という章で、「セクハラと体罰の根は同じである」ということに言及していることです。
体育会系の部活動で、自分自身が体罰を受けていた経験があるほど、体罰を容認する大人は多く、学校以外の場で同じことをしたら警察に行くことなるような暴力も「愛の鞭」だとか「指導」という名の下に行われ、周りの人も容認することがあります。
大阪の高校で生徒が体罰を苦にして自死をしたことで少しだけ風向きが変わったような感じがしないわけでもないですが、「竹刀やバットはダメだけど、ビンタくらいなら」とか平気で言う教師や保護者、大人の声を聞くことはそんなに難しいことではありません。
僕が学校現場で絶対にしてはならないと心に決めていることが2つあり、その1つは「生徒に触らない」ということです。
馴れ馴れしい人であれば、肩に触るだとかやる人もいますが、僕はどんな接触の仕方であれ、触った時点で学校での仕事は辞めようという気持ちでいます。
「触る」ということは、それは体罰にもなるし、セクハラにもなり得ることです。
この2つを「まるで別々のこと」と考える人も少なくないのですが、この本で著者が指摘しているように、「根は同じ」だと僕も思います。
生徒に接触したときに相手が「暴力だ」と捉えれば体罰であり、「性暴力だ」と捉えればセクハラだというそれだけの違いです。
もちろん、他にも直接的な身体接触がなくても、暴力・セクハラになることがあるのは言うまでもありませんが、この2つを分けて考えてしまうのは危険だと思っていたので、「根は同じ」だと明確に述べられていたのは心強かったです。
少しだけ残念だったのは、「男性生徒の被害者」に関しての記述が殆どないことでした。
全くないわけではありませんでしたが、ほぼ触れられていない、という印象で、「学校で教師が生徒にセクハラを行うことは【ありえることだ】」ということを繰り返し述べているならば、「その被害は女性でも男性でも【ありえることだ】」と繰り返して欲しかったです。
でも、僕自身は(単に気づかなかっただけという可能性がかなり高いですが)周りでのセクハラというのは、自分が生徒だったときも、学校で働いていても知らないので、こういうことが実際に起きている(起こる可能性がどこにでもある)ということを知れて良かったです。
自分の子どもが学校に通うようになった保護者にも是非読んでもらいたい本です。