映画と本と自分と山

映画が半分、残りは本と自分、時々山登りについて

『ママがおばけになっちゃった!』

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話題の絵本を買ってみました。

 

ママがおばけになっちゃった! (講談社の創作絵本)

 

ものすごく売れている、ということと、親しい友人(女性)も「すごくよかった!」と言っていたので、内容を確かめずに買ってしまったのですが…。

 

うーん、せめてAmazonのレビューくらいは読んでから買うのを決めれば良かったです。

 

ストーリーとしては、

1、ある日突然お母さんが死ぬ

2、おばけになったお母さんが夜になったときに会えるようになった

3、お母さんにとってどれだけ子どもが好きかを伝える

というような感じです。

 

否定的なAmazonのレビュー

 

Amazonのレビューでは、死を愚弄しているというような意見や、小さい子どもにわざわざ(想像だとしても)悲しませる必要はない(というか傷つけてどうするんだ)というような意見がありました。

僕は子どものころから身近で死をいくつも体験してきたので(10歳になるまでに祖父母、伯父、そして、10代のときにはDVにあい、病死したいとこ、自死をしたはとこなど)、「小さい子どもに親しい人の死を想像させる必要はない」とか「悲しませてどうするんだ」という意見は持っていません。

 

小さい時からお葬式に出て、火葬場で骨になった(そしてまだ温かかった)遺体(というかその残り?)を見て、いつかは誰もが死ぬということや、僕自身も死ぬということを想像しました。

それは生きていれば当たり前に起こることであって、「子どもだからダメだ」というのは子ども自身の生きる力(みたいなもの)を信じていないような気もします。

 

父親がいない

 

では、僕がこの絵本で何が引っかかったのかというと、父親が一切出てこないということです。

おばあさんは出てくるのですが(しかも、どちらの母親なのかもわからない)、父親は出て来ません。

 

最初に読んで思ったのは「母子家庭だったの?」ということだったのですが、ツレは「幼稚園に通っているからシングルマザーじゃないのかもよ」と言っていました。

でも、もともとおばあさんとの女系3世代家庭だったら、お母さんが働いていてもおばあさんが子どもの面倒を見ていれば幼稚園に通えるわけなので、よく分かりません。

 

と、横道に逸れているように思うかも知れませんが、「母親が亡くなった」という事態に、今現在婚姻関係にあろうがなかろうが、子どもの父親が出てこない理由が全く分かりません。

全く父親がいない、父親の存在を感じさせないので、「父親も死んでるのか?」と思うほどでした。

 

母親が死ぬ、という幼い子どもにとっておそら最も過酷な状況にあって、父親が現れることなく、その代わりに祖母が出てくるということに、そして、それを批判的な評価を下している人もこの点についてはあまり触れられていないことに、ものすごく違和感を感じました。

違和感と言うことではなく、「子育てをするのは母親であって、父親はいなくても良い」という価値観を何の疑問もなく受容していることに、残念な気持ちを覚えました。

 

この話、もし、男女の性別が逆転したものを作ったら、みなさんはどういう反応をするのでしょうか。

 

1、ある日突然お父さんが死ぬ

2、子どもはおじいちゃんと2人で暮らすようになる

3、お母さんは全く出てこない

 

こういう家庭を知っていますが、とてもこれほど売れたりしないでしょうし、批判的な声の中には必ず「母親はどこにいったんだ!?」という声が上がるだろうと思います。