映画と本と自分と山

映画が半分、残りは本と自分、時々山登りについて

『女の数だけ武器がある。』

僕がnoteでいつも読んでいる記事に、渋谷でバーをやっているbar bossaの林伸次さんという方のものがあります。

その林さんの下の投稿で触れられていた本を読んでみました。

 

 

林さんにはお会いしたことも、お店に行ったこともないのですが、書いてあるものが好きというか、分かりやすく、僕にはあまり縁のないような感じもして、それが逆に面白いので、触れられていた本も読んでみようと思ったのでした。

 

女の数だけ武器がある。 たたかえ!ブス魂 (幻冬舎文庫)

 

下のものが単行本で、それに加筆して文庫にしたようですが、文庫版だとかなり長い加筆があるので、これから読むとしたら(値段も安いですし)文庫版の方が良いかと思います。

 

たたかえ! ブス魂〜コンプレックスとかエロとか三十路とか〜

 

さて、本の内容ですが、著者のペヤンヌマキさんが抱えていたコンプレックスとどう向き合ってきたか、それを「乗り越える」とかチャレンジ的な要素を感じさせることなく、肩肘張ることないような感じで書かれています。

また、1つのコンプレックスに向き合えるようになってきても、また新たなコンプレックスや悩みが出てくる様子も書かれていて、決して、幼少期からのコンプレックスがコンプレックスと感じなくなっても悩みが尽きないということを教えてくれます。

 

僕自身は女性ではないということがかなり大きいと思いますが、容姿でランク付けられるプレッシャーをほとんど感じる事なく過ごしてこられましたが、逆に男側が女の人たちを容姿でランク付けする様子はありとあらゆる場面で見ているので、それを毎回毎回突きつけられる側は本当にストレスだろうな、と思います。

 

女性の悩みだけが描かれているのかと言えば、そうではなく、九州から上京し、振り返りたくなかったこともあり合わなかった地元の同級生たちにかなり久しぶりに会ってからの気持ちをこんな風に書いています。

 

みんなが幸せアルバムを着々と増やしていっているのに、私には何もない。私は何一つ持ってない。これまで私は何をしてきたんだ?という気持ちになって落ち込んだりもしました。

 

これは性別に関係のない悩みのように思います。

 

でも、多分これも女性だからこそ、ある「目に見える幸せの形」というものが目の前に突きつけられているのかな、と思います。

「いい男」と結婚し、出産し、家を持つ。

この本では、そういう「目に見える幸せの形」がいかに根深いのもなのか、伝わってきました。

 

逆に、僕自身ではどうかといえば、ここに書かれているようなプレッシャーやコンプレックスは感じずに済んで来たように思います。

それは、僕自身の性格も大きいかと思いますが、「女の幸せ」という言葉は聞いても、「男の幸せ」というものはあまり聞かない事にも表れているように思います。

確かに、年収だったり、社会的地位だったり、パートナーの容姿を誇るようにする人はかなりいますが、だからといってそれが「男の幸せ」という表現ではあまり使われません。

 

年収が低くても、社会的地位がなくても、パートナーがいなくても、自分のやりたいことを求めつづけている人が幸せに見えることもあるし、年収が高く、社会的地位が高く、パートナーがいても全然幸せそうには見えない人もいる。

 

そもそも「幸せ」は人と比べたところで感じられるものでもないので、そう思うのですが、コンプレックスを感じていなくても、果たして自分がやりたいこと、生きたいように生きているかと言われればそんなことはない自分にいつものように哀しみを覚えるのでした。