映画と本と自分と山

映画が半分、残りは本と自分、時々山登りについて

益田ミリ『世界は終わらない』

 先日、ふと古本屋さんに寄りました。
 あんまり時間がなかったのですが、とりあえず100円コーナーに行ってみて、気になる作品を手に取った中の一冊がこの益田ミリさんの『世界は終わらない』です。
 あとでレビューを眺めていたら評価が分かれていたのですが、その理由は単行本では『オレの宇宙はまだまだ遠い』というタイトルだったのが、文庫化の際にタイトルが変わり、それが1度買っていた人の反発を買ったようです(説明文もなかったようで)。
 僕は割と益田ミリさんの本を読んでいる方だと思いますが、『オレの宇宙はまだまだ遠い』は読んでいなかったので、良かったです。

 


世界は終わらない (幻冬舎文庫)

 

世界は終わらない | 株式会社 幻冬舎

 

内容幻冬舎より)
書店員の土田新二・32歳は、後輩から「出世したところで給料、変わんないッスよ」と突っ込まれながらも、今日もコツコツ働く。どうやったら絵本コーナーが充実するかな? 無人島に持って行く一冊って?1Kの自宅と職場を満員電車で行き来しながら、仕事、結婚、将来、一回きりの人生の幸せについて考えを巡らせる。ベストセラー四コマ漫画

勝手に五段階評価
★★★★☆

感想
 書店員の土田新二、32歳が主人公の漫画になっていて、日々考えていることや出会ったことなど描かれています。
 たとえばこんなシーンがあります。

 

うらやましいのとも
違う
ただ、
ただ、
オレの人生の意味ってなんなんだろうって
明日からもここに帰りつづける
オレの人生の意味って
なんなんだろうって
考える夜もある
な~んて

 
 振り出しというか、マイナスになった僕にとってはものすごくグサリと心に刺さってくるセリフでした。
 特に、土田は誰かの人生と比べてしまって、比べても仕方のないことだと分かっていても比べてしまうことがある、ということも描いているのですが、そんな葛藤というかちょっとした悩みを持つ土田の年収よりも低い収入で、子どもたちからも離れて暮らし、恋人もおらず、友だちもいない、初めて暮らす場所に引っ越し、新生活が待っている。

 正直、子どもたちと離れて暮らしていることが僕にとってはとてもつらく、今まで土曜日に授業公開があった時には行って、子どもたちに会ってきたのですが、今度の仕事は土曜日も仕事があるので、さらに会えなくなります。
 それを想像しただけで不安というかつらく、この1年半ちょっとの自分をなんとか支えていたものがなくなってしまう気がしています。

 そして、35(年明けには36)になることもあり、なんだかそういうことを延々と考えてしまいました。

 この作品では最終的に恋人も出来、ハッピーな展開になっていて、益田さんの作品自体はいつもとても良いな、と思い、今回も良かったのですが、「それに対して僕は…」と考えてしまいました。
 まぁ、引っ越しと新しい職場という新生活にただ不安がある、ということなのかもしれませんが。

 なんだか、うつをさらけ出してしまいましたが、良かったのは、主人公が書店員という設定ということもあり、沢山の本が紹介されていたことです。
 児童文学の名作から(でも僕は読んだことがない)、漫画など幅広く出てきたので、これ今度読んでみよう、という作品が出てきたのが良かったです。