映画と本と自分と山

映画が半分、残りは本と自分、時々山登りについて

ハンス・ロスリング、オーラ・ロスリング、アンナ・ロスリング・ロンランド『FACTFULNESS(ファクトフルネス)』

 話題になっているのは知っていたものの、中々手が出なかったのですが、購読している無料のメールマガジン勝間和代さんが触れていたので読んでみました。

自分の行動を変える本ってすごいと思います(2019年2月11日月曜日:勝間和代メールマガジン)

 勝閒さんがメールで触れたのが2月、その前から話題になっていましたが、先日かなり久しぶりに大きな本屋さんに行ったら、今でも沢山並んでいました。

 


FACTFULNESS(ファクトフルネス)10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣 Kindle版

 

FACTFULNESS(ファクトフルネス)10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣|日経BPブックナビ【公式サイト】

 

内容紹介(公式サイトより)
ファクトフルネスとは データや事実にもとづき、世界を読み解く習慣。賢い人ほどとらわれる10の思い込みから解放されれば、癒され、世界を正しく見るスキルが身につく。
世界を正しく見る、誰もが身につけておくべき習慣でありスキル、「ファクトフルネス」を解説しよう。
◆賢い人ほど、世界についてとんでもない勘違いをしている
本書では世界の基本的な事実にまつわる13問のクイズを紹介している。たとえば、こんな質問だ。
質問 世界の1歳児で、なんらかの予防接種を受けている子供はどのくらいいる?
・A 20%
・B 50%
・C 80%
質問 いくらかでも電気が使える人は、世界にどのくらいいる?
・A 20%
・B 50%
・C 80%
答えは本書にある。どの質問も、大半の人は正解率が3分の1以下で、ランダムに答えるチンパンジーよりも正解できない。しかも、専門家、学歴が高い人、社会的な地位がある人ほど正解率が低い。
その理由は、10の本能が引き起こす思い込みにとらわれてしまっているからだ。
◆教育、貧困、環境、エネルギー、医療、人口問題などをテーマに、世界の正しい見方をわかりやすく紹介
本書では世界の本当の姿を知るために、教育、貧困、環境、エネルギー、人口など幅広い分野を取り上げている。いずれも最新の統計データを紹介しながら、世界の正しい見方を紹介している。
これらのテーマは一見、難しくて遠い話に思えるかもしれない。でも、大丈夫。著者のハンス・ロスリング氏の説明は面白くてわかりやすいと評判だ。その証拠に、彼のTEDトークの動画は、累計3500万回も再生されている。
また、本書では数式はひとつも出てこない。「GDP」より難しい経済用語は出てこないし、「平均」より難しい統計用語も出てこない。誰にでも、直感的に内容を理解できるように書かれている。

 

感想
 公式サイトの内容紹介で十分紹介されつくしているように思うのですが、読んで良かったです。
 そう思ったのは、例えばこんな文章です。

 

 実際、世界の大部分の人は中間所得層に属している。わたしたちがイメージする「中流層」とは違うかもしれないが、極度の貧困状態とはかけ離れている。女の子も学校に行くし、子供はワクチンを接種するし、女性ひとりあたりの子供の数は2人だ。休みには海外へ行く。もちろん難民としてではなく、観光客として。
 時を重ねるごとに少しずつ、世界は良くなっている。何もかもが毎年改善するわけではないし、課題は山積みだ。だが、人類が大いなる進歩を遂げたのは間違いない。これが、「事実に基づく世界の見方」だ。

 

 普段接しているニュースや報道では「悪いこと」、例えば殺人事件や不正、事件や事故などが流れてくるので、「今日も○○線では人身事故が起きませんでした」、「今日は全国で殺人事件が1件もありませんでした」というようなことはニュースでは流れてこないので、世界が悪くなっていると思いがちです。
 でも、日本の殺人事件件数は戦後に比べると半減以下になっているし、この10年で自殺者は数千人単位で減っている。
 それにも関わらず、人間は(諸説あるようですが→Negativity bias - Wikipedia)生存していく為に危険を察知する必要があったので、ネガティブに考えることが基本になっているようです。
 この、そもそも物事をネガティブに捉える傾向がある、ということを理解した上で、「事実に基づ」いて世界を見てみようということが詳しく、そして具体的に書かれています。

 だからといって、もちろん殺人や貧困、不正や事故が起きていないわけではないので、それに対する必要な対策を取らなければなりません。
 そのとき、「本当に必要な対策」を取る為にも、まず事実、現実がどうあるのか、ということを捉える必要があるのだ、ということを著者の具体的な経験と現実を交えて分かりやすく書かれています。

 最後にはファクトフルネス(事実にも基づく世界の見方)の大まかなルールがイラストと共に示されていて、これは時々でも良いので、振り返るのにちょうど良いと思いました。
 ネガティブに考えてしまいがちなことや、二つにわけて捉えてしまいがちなことなど、自分自身の「思い込み」に気をつけるために、この部分だけでも目につくところに貼ってあったりすれば、何かの出来事を考えるときに、自分自身の「思い込み」をなるべく取り除くことが出来るような気がします。

 著者は長く大学で教えていたということもあるからか、教育について、子どもたちにどのようなことを伝えたら良いのかについて、具体的に書かれています。
 教員はもちろんのこと、子どもに関わる人には特にこの本を読んでもらいたいな、と思います。