神谷美恵子『ハリール・ジブラーンの詩』
先日、ふと出来た時間に本屋さんに寄りました。
詩が読みたい、と思い、前から気になっていた最果タヒさんの詩集を中心に詩集をパラパラと開き、最果タヒさんの詩集でも手に取りたいものがあったのですが、単行本で高かったので、そういえば、と家にあるこの詩集を引っ張り出して読みました。
感想を書いていなかった本なので書いてみたいと思います。
ハリール・ジブラーンの詩 (角川文庫)
ハリール・ジブラーンの詩 神谷 美恵子:文庫 | KADOKAWA
内容(KADOKAWAより)
魂に響くジブラーンの詩を、神谷美恵子の名訳で。
愛し合いなさい、しかし愛をもって縛る絆とせず、ふたりの魂の岸辺のあいだにゆれ動く海としなさい。(「結婚について」より) 深い思索の中から紡ぎだされた、静かな叡智に満ちた詩の数々。人生の礎となる一冊。
勝手に五段階評価
★★★★☆
感想
この本というか、ハリール・ジブラーンという詩人のことを知ったのは、僕が大学院を出た後にいた特殊な学校です。
その学校にいたとき、1人の教員とゆっくりと1つの本を読む、という時間があり、その中で紹介されました。
その時には、英語のままで『The Prophet』を読みながら、どんな訳をそれぞれしたのか、それを読んでどんなことを考えたのかということを話したのですが、手っ取り早く日本語の方が良いというか楽なので買って手に取っていたのがこの本です。
神谷美恵子さんが訳というか、感想を書いていて、日本でほとんど知られていないハリール・ジブラーンという人のことや詩を知るのにはとても良いのですが、原著からするとかなり省略されている部分があるので、物足りなさを感じてしまいました。
やっぱり原著で読もうかな、という気持ちになりましたが、一部分だけ引用してみます。
あなたの苦しみの多くは自ら選んだもの。
あなたの内なる医師が
病める自己を癒そうとしてのませる苦い薬。
だから医師を信頼して
黙ってしずかに薬をのみなさい。
医師の手がたとえ重く容赦なくとも
それは目に見えぬもののやさしい手に導かれている。
中々ここまでの心境には至ることは出来ませんが、今の僕にとってはとても心に響いてくる言葉でした。
「ジェラルドのゲーム」
1ヶ月間のNetflixオリジナル作品鑑賞月間。
今回もエスクァイアの記事で紹介されていた作品です。
が、先に書いておくと、僕にはダメというか、ホラーというか、もの凄く怖かったので、念のためにそれを書いておきます。
ジェラルドのゲーム | Netflix (ネットフリックス) 公式サイト
作品データ(映画.comより)
原題 Gerald's Game
監督 マイク・フラナガン
製作年 2017年
製作国 アメリカ
配給 Netflix
上映時間 103分
内容(公式サイトより)
マンネリの性生活に刺激を求めて試したゲームが暗転。人里離れた別荘のベッドに手錠でつながれた妻のジェシーを襲う幻覚、過去の秘密。そして究極の選択が迫る。
勝手に五段階評価(基本的に甘いです)
★★★★☆
感想
勧められていたからということで観始め、後半の最後の方までは観られました。
けれど、最後の方の場面で、今でもこれを書きながら恐怖を感じる場面がありました。
僕はHSPなので、共感力が強いようで、特に、人が傷つけられる場面が苦手なのですが、それが写っていたので、今でもその場面を思い出してしまい、その傷ついた部分を手でさすってしまいます。
原作はスティーブン・キングだそうで、それを先に調べてから観始めれば良かったです…。
けれども、さすがスティーブン・キングという展開になっていて、性生活(ということは夫婦関係)がここのところちょっとうまくいっていない夫婦が、刺激を求めるというか、たっぷり愛し合おうと別荘に行くことから始まります。
僕も引く夫側の求める「刺激」とそれに対する妻側の反応。
その後どうなるのかというと、突然夫が(バイアグラを飲んだこともあり)心臓発作で亡くなってしまいます。
手錠でベッドに縛り付けられたままのジェシーに様々な幻覚や過去の出来事(性に関するトラウマ)が呼び覚まされていきます。
その展開は見事だったのですが、最後どうやって脱出するかという展開が本当に僕にとってはトラウマになる描写でした。
ラストのジェシーのセリフも見事だったので、ホラーとかスプラッタとか平気な人は楽しめる展開かも知れません。
退職願を出した時の上司の反応
転職先が正式に決まった翌日、退職願を今いる会社の上司に提出しました。
いつも僕の方が早く出勤していること、退職願を提出するだけで特に話すこともないので、封筒表面に印字された「退職願」の文字が見えない形で付箋を貼って、上司の机に置いておきました。
付箋に書いたのは「○○(上司の名前)様 内容をご確認の上、本社へのご報告をお願いいたします。 2019.10.○○ ぶみ(本名)」です。
僕らの仕事は朝というか午前中が一番忙しいので午前中は特に何もなく、予想通り、午後休憩後に「○○さん、ちょっと良いですか」と上司に呼ばれました。
それで、2人きりになって切り出されたのが「退職願、確かに受け取りました。」ということと、12月31日までと書いておいたので、「12月31日までということもわかりました」ということ、そして、僕らは出向しているので、出向先の人には言わないようにということでした。
その上で、「改めて理由を聞かせてくれますか?」と言われました。
が、僕は「そこに書いた通りです」(一身上の都合によりと書いたので)「それ以上のことは言えません」と言いました。
本当は色々言いたいことはありますが、言ったところで何にもプラスに働くことはないと思ったからです。
その上司が、上司にもかかわらず僕に対して何故か競争心むき出しなこと、言葉遣いや態度が明らかに違うこと、そして、大きな会社ですが、一旦学校から離れてみて、改めて学校というか子どもと関わる仕事が良いなと思ったこと、今の仕事は全く向いてないなと思っていること。
それらを話したところで、残りの2ヶ月、その上司との関係が良好になることはあり得ず、むしろ悪化するだけなので、何も言えないと言って終わりました。
それはまぁ良いとして、僕が驚いたのは、その上司が僕が退職することを全く予想していなかったように見えたことです。
僕からすればあなたのような態度を取る上司がいたらみんな辞めてくよ、と思うのですが、その上司は明らかに動揺していました(僕にかける言葉使いも変わった)。
僕からは、本当にこの人僕が辞める理由がわかっていないんだな、と思いました。
労働基準法的には2週間前に宣告すれば退職出来るので、いざとなったら今月中に辞めることになるかと思いますが、最後の最後まで本当にこの人は何にもわかっていない人なんだなと印象深い出来事でした。
「タルーラ 〜彼女たちの事情〜」
1ヶ月間のNetflixオリジナル作品鑑賞月間。
今回もエスクァイアの記事で紹介されていた作品です。
タルーラ 〜彼女たちの事情〜 | Netflix (ネットフリックス) 公式サイト
作品データ(映画.comより)
監督 シアン・ヘダー
原題 Tallulah
製作年 2016年
製作国 アメリカ
上映時間 111分
内容(公式サイトより)
元彼を捜していた住所不定の若い女が、衝動的に赤ちゃんを誘拐してしまう。ちゃんと子育てをしていない母親から救い、自分の子として育てるつもりだったが…。
勝手に五段階評価(基本的に甘いです)
★★★★★
感想
バンでその日暮らしをしていたルー(タルーラ)。
ある日突然一緒に暮らしていたニコがいなくなってしまう。
ニコが残した荷物を手がかりに、彼の親の元を訪れる。
そして、お金もないので、ホテルの残飯を漁っていると、従業員だと勘違いされる。
一晩だけシッターをしてとお金も渡されたルー。
子どもはネグレクトとも言える状態で、ホテルに帰ってきた母親もひどい状態。
ルーは思わずその子を連れ出し、ニコの母親の家に行ってしまう。
そして、この子はニコの子でもある(つまり孫)と嘘をついてしまい、一緒に暮らすことに。
当然誘拐事件として報道、捜索されるようになるので、それを知り動揺するルー。
警察にも居場所がばれてしまった時にルーが取る行動と、そしてルーを連行する刑事がルーにかける言葉が秀逸でした。
家族とは何か、あるいは、母親とは、親とは、夫婦関係とは、家族とはということを考えさせる作品になっているのですが、僕が一番印象的だったシーンは、疑似3世代3人で公園にいる場面です。
ルーの発言が、最後の場面で大きな意味を持っているのと同時に、僕が同じような状態になったら同じ事をするだろうか、と考えました(多分しないと思います)。
僕にとっては「JUNO/ジュノ」で記憶に刻まれたエレン・ペイジですが、もう32歳なんだなぁ、と、そりゃ母親役でもおかしくないわ(と同時に僕も誰かの父親でもおかしくない)と、月日の流れを実感する作品でもありました。
崔実『ジニのパズル』
新聞の書評で読み、積ん読していた本をようやく読みました。
ジニのパズル (講談社文庫)
内容紹介(講談社BOOK倶楽部より)
「日本には、私のような日本生まれの韓国人が通える学校が、二種類あるんだ」――。1998年、テポドンが発射された翌日、チマ・チョゴリ姿で町を歩いていたジニは、警察を名乗る男たちに取り囲まれ……。二つの言語の間で必死に生き抜いた少女が、たった一人で起こした“革命”の物語。全選考委員の絶賛により第59回群像新人文学賞を受賞した、若き才能の圧倒的デビュー作!
勝手に五段階評価
★★★★★
感想
著者が自分とほぼ同世代だからでしょうか、それとも出てくる場所が池袋だったり、十条だったりと自分に親近感を覚える場所だからでしょうか、心動かされる作品でした。
主人公は、僕と同じ年代の女の子ジニ。
小学校は地元の学校に通っていたけれど、中学から朝鮮学校に通い始める在日韓国朝鮮人です。
僕が、「在日(ざいにち)」の存在というか人と出会ったのは大学に入ってからです。
高校で3年間僕の後ろの席に座っていたYの両親は中国出身者でしたが(そのことを本人がいない場で蔑むような言葉を吐くクズもいた)、いわゆる「在日」の人と出会ったのは大学に入ってからで、僕が入った学科は一学年40数人と、まるで高校の1クラス分くらいしかいなかったので、そこに1人在日の同級生がいました。
僕はそこまで親しかったとは言えませんが、大学に入って初めて「自分の本当の名前を名乗れるようになった」と言っていたことを今でも鮮明に覚えています。
僕が通っていた大学は(今でもそうであって欲しいけど)障害を持っている教員や総長がいたり、いろんな人がいることが「普通」でした(兵役を終えた超マッチョな韓国出身の後輩や、何歳かわからない立派な髭を生やしたおじいさんの後輩がいたり)。
僕は大学に入るまで「自分の本当の名前を名乗れない人がいる」ということを知りませんでした。
そして、まだ18だったにもかかわらず、彼女は結婚するとしたら在日などの朝鮮半島出身者じゃないといけないと親から言われていると言うことに悩んでいること、そんな現実があることを初めて知り、僕は何も言えませんでした。
その後、僕は結婚し、元配偶者の姓に変えたことから、「自分の本当の名前を名乗れない人」に実際になったわけですが、その苦しさは本当につらいものでした。
国籍の違いとかももちろんありませんが、「ありのまま」あるいは「これが本当の自分」だという姿を見せられない苦しみや辛さ。
さらに、この作品では、中学校、高校とアイデンティティが形成される時期にそれらを体験すること、また、時代背景として、「テポドン」が発射されるなどの割と今と近い「嫌韓」感情が湧き始めていたこととを絡めて描かれています。
同世代だから深く刺さってきたのかも知れませんが、同じ時代を生きてきたからこそ、そして、「本当の自分でいることが許されない」という経験をしたからこそ、とても優れた作品だと感じました。
「マッドバウンド 哀しき友情」
1ヶ月間のNetflixオリジナル作品鑑賞月間。
今回もエスクァイアの記事で紹介されていた作品です。
マッドバウンド 哀しき友情 | Netflix (ネットフリックス) 公式サイト
作品データ(映画.comより)
監督 ディー・リース
原題 Mudbound
製作年 2017年
製作国 アメリカ合作
上映時間 135分
内容(公式サイトより)
ミシシッピ州の農園に住む白人家族と黒人家族。肌の色に関係なく共に戦った第二次世界大戦が終わっても、偏見と人種差別、畑仕事の過酷さは変わらない
勝手に五段階評価(基本的に甘いです)
★★★★★
感想
日本語タイトルにあるように本当に「哀しき友情」の物語です。
第二次世界大戦下にあるアメリカ南部ミシシッピを舞台背景にしています。
そこで、戦争が終わり、帰ってきた元兵士の白人のジェイミーと黒人のロンゼル。
2人とも戦争では戦友を喪うという哀しい経験をし、肌の色も関係なく戦っていたからこそ芽生える地元ミシシッピでの友情。
ミシシッピでは相変わらず黒人は白人の奴隷のような暮らしと扱いをされていて、白人と黒人が一緒にいることさえ許されない情況でした。
けれども、深い傷を負っている白人のジェイミーにとって、唯一苦しみを吐露出来るのが黒人のロンゼルで、仲良くなっていきます。
けれど、ジェイミーの父親は黒人嫌悪者というか、KKKとも繋がりがあるような人物でした。
あるとき、ロンゼルに送られてきた写真をジェイミーの父親が見つけてしまい、ジェイミーが助けようとするも、KKKによってロンゼルは「処刑」されてしまう。
最終的には半分ハッピーな話になっているところがこの作品の良さだと思います。
また、個人的には、ここで描かれる、様々なキリスト教に関する描写、黒人霊歌や、箴言(31章10節以下)、ヨブ記(14章)が印象的でした。
僕はどの宗教も本来は一緒だと思うのですが、一番苦しい立場に置かれている者を支えるのが宗教だと思っていて、まさに、その黒人霊歌や箴言やヨブ記という聖書を白人よりも理解し、身につけているのが黒人であるという描写がとても印象的でした。
抗うつ薬の副作用
久しぶりに、患っているうつ病に関する話についてです。
僕に処方されているのは、睡眠導入剤と抗うつ薬です。
睡眠導入剤は1種類を2錠寝る前に、抗うつ薬も1種類で夕食後に1カプセル飲んでいます。
僕に処方されている抗うつ薬はサインバルタという薬なのですが、基本的には朝飲むことが推奨されている薬です。
けれど、飲み始めたとき、昼間眠くなってしまう症状が出て、授業中(仕事中)に、ものすごく眠くなってしまう、ということを医師に話したら、副作用でたまに眠くなってしまう人がいるいうことで、夕食後に飲むように指導されました。
その時、もっと詳しく調べておけば良かったのですが、このサインバルタ、一番副作用が出やすいのが僕のように眠くなってしまう傾眠(229/970例=約24%=4人に1人が出る)とのことなのですが、実は他にも自分の身体で「ちょっとおかしいな」と思うことがありました。
【精神科医が解説】サインバルタの効果と副作用 | こころみ医学
何が「ちょっとおかしいな」と思っていたのかというと、おしっこが出にくい、ということです。
尿意を感じるのに、確かにおしっこを出したいのに出ない、ということがあったり、中々出なかったりします。
(男性の小便器は横に立って並んでいるので)隣りに人がいるから緊張して出にくいのだろうと思っていました。
けれど、夜中、中途覚醒し、尿意を感じるのでトイレに行くも出なかったり、出るまでもの凄く時間がかかったりすることがずっと続いています。
たまたま出てきた上に載せたサイトで僕が飲んでいる抗うつ薬の副作用をよく読んでみたら、副作用に【排尿困難(尿閉)】とありました。
それを読み、これだ!、とやっと気付くことが出来ました。
抗うつ薬を飲み始めて1年半経ち、ようやく理由がわかりました。
尿意を感じているのに出ない、というのは結構ストレスなのですが、理由がわかってちょっと安心しました。
今のところの対策としては、「漏れそう」と思うくらいまで我慢しておけば必ず出るというくらいで、映画館で映画を観る前に「念のためにトイレに行っておこう」というような場合や、仕事の合間の神経が高ぶった状態の時はやはり出にくかったり、出なかったりするのですが、とりあえず理由がわかって良かったです。