映画と本と自分と山

映画が半分、残りは本と自分、時々山登りについて

「そして父になる」のちょっとしたもやもや感

イタリアに行く際の飛行機で、前から見たかった映画を見ることが出来ました。

映画自体はさすがカンヌ映画祭で審査員特別賞を受賞しただけあって、とても良かったです。

 

そして父になる

 

映画のあらすじを簡単に説明すると、同じ日に生まれた6歳になる子供が実は病院で取り違えられていたことが判明し、その後子供たちとどのように関わっていくかを描いたものです。

 

あらすじに詳しく入り込むようなことを書くのは控えますが、この映画の中でなんだかもやもやを感じた言葉がありました。

それは、取り違えが判明したあと、仕事人間の父親役の福山雅治さんが母親役の尾野真千子さんに

 

「母親なのになぜ自分の子じゃないと分からなかったんだ」

 

というものです。

まぁ、取り違えたりしたら、実際に言われるんだろうなぁ、と一瞬思うものの、

・いくら10ヶ月お腹の中で育てて産んでも、ちょっとしか見てない赤ちゃんを自分の子供だと認識できるのか?

・っていうか、「産んだ母親」ばかり責めないで、じゃあ、父親なのになんで分からなかったの?

と?が沸いてきてしまいました。

 

映画の中でも触れられていますが、(昭和)40年代には赤ちゃんの取り違えがいくつも判明したということがありました。

なので、今では間違えないようにいろんな対策を取っているわけですが、いくつもあったということは、「産んだばかりの赤ちゃんを自分の子だと認識するのは難しい」ということも物語っているように思います。

 

実際、うちには子供が3人、そのうち2人は出産に立ち会いましたが、生まれたばかりの赤ちゃんはいろんなもの(胎内のものだったり、血だったり)が付いているし、狭い産道を通ってくるからか顔はぱんぱんに腫れているし、生まれた日の顔と翌日の顔が全く違ったりしました。

いくら母親だって、一生懸命産んで疲れている中でちょっとだけ見た子をすぐに「自分の子」と識別するのは、実際の出産の様子を知らないのかな、と。

 

特に、この映画の設定では出産によって「次の子供を授かることが出来ない」状況になっている訳で(出産後つきっきりで子供と一緒にいたわけではない)、いくら仕事人間の父親だって、こういう発言はないだろう、と。

まぁ、こういう発言を軽くしちゃうような人間だから、血がつながっていてもつながっていなくても子供たちが逃げてしまうのかな、と。

 

もう1人の母親役である真木よう子さんが「きょうだいの中で1人だけ似てないと思っていた」と言っていましたが、実際、我が家の子供たちもきょうだいが似ているから、まぁ、血がつながっているんだろうなと分かりますが、1人だけしかいなかったら分からないだろうな、と。

 

まぁ、でも、こういう父親は実際にいそうだし、こういう父親だったらこういう言葉を投げかけちゃうだろうな、と思います。

そして、こういうパートナーは父親としてはあんまり好きじゃないけれど、お金もたくさん稼いできてくれるから、離婚するほどでもない、と。

そういう女性も実際多いような気もします。

この辺の「本当にありそうな感じ」がとても良かったです。

 

ちなみに、取り違えられたもう1人の子供の父親役がリリー・フランキーさんで、途中にピエール瀧さんも出て来たので先日観た映画(凶悪)のリリー・フランキーさんをどうしても思い出してしまって、「実はこの人凶悪犯なんじゃ?」とかびくびくして観てしまいました。

実際、途中に昼食を取ったとき「(取り違えた病院の)領収書にして」とか「結局金でしょ」とかいう発言もあったので。。。

 

でも、最終的には「とても良い父親」役でした。

 

勝手に五段階評価(基本的に甘いです)

★★★★☆

 

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1「そして父になる