映画と本と自分と山

映画が半分、残りは本と自分、時々山登りについて

大学時代を思い出す:『あなたが気づかないだけで神様もゲイもいつもあなたのそばにいる』

先日、新聞を読んでいたら、書評面の隅にあった本に目がとまりました。

(オススメ 編集部から)牧師になった同性愛者朝日新聞2017年12月10日朝刊)

というのも、この本のタイトルが目に入ってきたからです。

『あなたが気づかないだけで神様もゲイもいつもあなたのそばにいる』

あなたが気づかないだけで神様もゲイもいつもあなたのそばにいる Kindle版

すごくストレートで、なおかつ、本当にその通り、と思ったからです。

そして、紹介文を読もうと思ったらまず出て来たのが、平良愛香さん、というお名前。

知っている、というか、10年ほど前、僕が大学院生だった時に、新宿二丁目を案内してくれたのが、この平良愛香さんでした。

僕が通っていた大学で教室から人があふれるほどの人気講座を持っていたのが平良愛香さんで、僕が通うキャンパスとは違うキャンパスで行われていたので、正規で履修したことはないのですが、大学院の時に、同じ専攻の友人がTA(ティーチングアシスタント)をしていたこともあり聴講しに行ったり、その延長線上で、興味のある学生たちに新宿二丁目を案内してくれました。

新聞の紹介タイトルや本文にあるように、先生は「男性同性愛者であることを公表し、牧師になった」「日本では初めて」の人物です。

とても柔和な方で、机上の神学論争に与することなく、人との対話や出会いを大切にする印象が今でも思い浮かびます。

先生に新宿二丁目を案内してもらった数年後には、先生の出身地沖縄でご両親にもお会いすることが出来ました。

10年という時がいつの間にか流れていることに戸惑いつつ、そして、その後お会いしていないこともあり、とても懐かしく感じ、紙版より半値だった電子書籍を購入、すぐに読みました。

本の内容は、基本的には先生が教えていた講義の内容だったり、直接聞いたことのあるお話で、キリスト教と、ゲイ(セクシャルマイノリティ)に関するものが多かったものの、そこから離れている今の僕自身にもとても響いてくるものでした。

たとえば、こんな言葉が出て来ます。

黙っているのは多数派に加担することと同じで、少数派=マイノリティに背を向けているのと同じなのです。

同じような言葉は大学、大学院時代に何人かの先生たち、特に【現場】を大切にする先生たちが何度も繰り返していたことです。

頭では分かっていますが、その結果、背負いきれなくなったり、苦しい出来事が起きたりしたこともあり、何も反応しないという態度を取るようになってきていました。

自分が声を上げなくても、他の人が既にしているし、そういう人がいるのだから、僕は何も言わなくても良い、と。

具体的には、丁度、先日の「選択的夫婦別姓フォーラム」に登壇するかどうか、僕が相応しいのか悩んでいたので、「お前は何も言わないのか」と突きつけられた様に感じました。

キリスト教に触れたことがない人にはもしかしたら、「神様」「牧師」という言葉から、入信を迫るような、キリスト教が伝える「神」を信じ込ませるのではないか?と不安に思うかも知れませんが、(キリスト教徒、あるいは牧師の中にはそのような考えの人が一定数いるのは事実ですし、それらの人たちから激しい反発がありますが)平良愛香さんはむしろキリスト教を相対的に考えようとしている(のではないか)、ということを最後に申し添えておきたいと思います。