映画と本と自分と山

映画が半分、残りは本と自分、時々山登りについて

「14の夜」

 夏休みなので昼間電車に乗っていると中学生くらいのグループと出くわすことが多くなりました。
 早い時間だとどこかへ行こうとしている楽しそうな雰囲気だったり、夕方だとどこかから帰って来たこれまた楽しそうな雰囲気を感じたりします。
 自分もたぶんそういう中学生の時があったのだと思いますが、20年近く経っているのであまりよく思い出せません。
 そんな、自分が20年前の中学生だったときのことを思い出せる映画を観ました。
 Amazonで「こんな作品もあります」、というような感じで表示され、評価が高かったので何気なく観た作品です。

 


14の夜

 

youtu.be

 

映画『14の夜』公式サイト

 
作品データ映画.comより)
監督足立紳
製作年 2016年
製作国 日本
配給 SPOTTED PRODUCTIONS
上映時間 113分
映倫区分 PG12

ストーリー(公式サイトより)
1987年の田舎町。中学生のタカシは、ずっと家でうじうじしている父親がカッコ悪くて嫌いだ。今日も婚約者を連れて帰って来た姉に対して情けない態度で見ていられない。待ちを歩いているとすぐ絡んでくるヤンキーたちも鬱陶しいし、隣に住む幼なじみで巨乳のメグミがちょっと気になっている。そんなどうにもならない悶々とした日々を送っているタカシが柔道部の仲間たちと入り浸っている、町に一軒だけあるレンタルビデオ屋があった。そしてそこにAV女優のよくしまる今日子がサイン会にやって来るという噂が聞こえてきて…。予期せぬ事態、大騒動の果てにタカシはよくしまる今日子に会えるのか――?

勝手に五段階評価(基本的に甘いです)
★★★★☆

感想
 
タイトル通り、まさに「14歳の夜」、1人の中学3年生の夏休み中のある1日を切り取った作品です。

 近所に住む女の子の胸を見ないようにと思いながらも、じっと見つめてしまったり、男子4人で延々とおっぱいの話をし続けたり、AV女優がやってくるという噂を確かめようとしたり、中学生、しかも14歳、中学3年生の夏休みという、この時期だからこそしてしまうことや考えてしまうことをリアルに描いていると思いました。

 また、設定が1989年なので、「昭和」の雰囲気というか、20世紀末の雰囲気というか、そういう点でも僕自身が中学3年生だった時にもこんな経験をしたかもしれないし、同級生がこんな経験をしていたかも知れない、というリアルさを感じました。
 全体のエピソードとしては同じことを経験したわけではなくても、例えば、夜に公園でセックスしているのを見に行く、というのは、実際、夏に同級生たちがやっていましたし、移動手段が基本的に自転車だったり、ビデオテープでAVを観る時の家族が帰ってこないかという緊張感だったり、同じ時代を過ごしたからこそ知っている情景が丁寧に描かれていました。

 携帯もなく、インターネットもなく、連絡を取るにも電話、しかも家の電話なので、1度連絡が取れなくなったら終わり、というのも今はない情景なのだな、と改めて実感しました。
 電話で連絡して、恐い先輩が来ることが分かったら、「風邪引いた」と言って逃げてしまうやつが出てきますが、今だったら、携帯を一人一人が持っているので逃げることが出来ないわけですが、当時は家の電話で連絡していたので、しつこく迫ることなど出来ず、それが嘘だと分かっていても追及できませんでした。
 自分が一番乗り気で、絶対来いよ、と言っていたやつが恐くなって逃げる、という点は14歳にはありそうな出来事で、そういう一つ一つの出来事がまさに「14歳の男子中学生」でした。

 30~40歳くらいの人たちには当時の時代の様子に懐かしさを一番に感じるかも知れませんが、それ以外の年代でも14歳を経験した、特に男子だった人には、かつて自分も同じことをした(かもしれない)と懐かしさを感じるのではないかと思います。