映画と本と自分と山

映画が半分、残りは本と自分、時々山登りについて

「ねこあつめの家」

 子ども3人との5人での生活から突然1人暮らしになったので、ペットを飼う人の気持ちが分かるようになったというか、気ままな野良猫でもいたら良いな、と思うことがあります。
 また、たまたまTwitterで仔猫を拾った人のツイートが流れてきて以来、そのアカウントを時々見ています。

twitter.com


 そんな、自分の中ではかなり猫への思いが高まってきたことと、以前から観ようと思っていたので、Amazonでプライム対象になっていたので観てみた作品です。


ねこあつめの家

 

youtu.be

 

映画『ねこあつめの家』公式サイト

作品データ映画.comより)
監督 蔵方政俊
製作年 2017年
製作国 日本
配給 AMGエンタテインメント
上映時間 92分
映倫区分 G

ストーリー(公式サイトより)
 若くして新人賞を受賞し、一躍人気作家となった小説家、佐久本勝(伊藤淳史)。現在は大スランプ中で、ヒマに任せてエゴサーチをしては、さらにドツボにハマる毎日。担当編集者のミチル(忽那汐里)は、そんな佐久本を励ますが、若さあふれる熱血アドバイスは、逆に佐久本には苦しいだけだった。ある夜、不思議な占い師から予言を受け、おかしな不動産屋(大久保佳代子)の勧めで、佐久本は、多古町という片田舎の古民家に逃げるように移り住む。しかし、場所は変われど暮らしは変わらず、生活は下降線をたどる一方。編集長の浅草(田口トモロヲ)には、見放されたようだ。途方に暮れて縁側で庭を眺めていると、猫がふらりとやってくる。しばし見つめあう一人と一匹…。しかし、ほどなくして、猫は庭から出て行ってしまう。猫にも見捨てられたと落ち込むが佐久本だったが、どうしても猫が気になり、 ペットショップの店主・寺内(木村多江)からアドバイスを受けて庭作りを始める…。こうして、若き小説家の「ねこあつめ」の生活が始まった―。

勝手に五段階評価(基本的に甘いです)
★★★☆☆

感想
 この映画を観るまで知らなかったのですが、「ねこあつめ」というアプリゲームがあるようです。(ねこあつめ公式サイト
 観終わったあとに知り、サイトをちょっと覗いてみたら、劇中に登場する猫のおもちゃなどがアプリに登場するものとそっくりでした。

 物語としては、一度売れたことのある作家が、逃避のために借りた家にやってきた野良猫たちの世話をしたり、猫たちの様子を眺めていく中で徐々に再生していくというものです。

 猫好き、あるいはねこあつめを鑑賞前からやっている人には良いのかも知れませんが、最初からかなり違和感がありました。
 その違和感とは、野良猫なのに、毛並みが良く、純血種であること、そして、今人気の猫たちが出てくること。

 僕の祖母は自分から積極的に集めていたわけではないのですが、猫を沢山飼っていました。
 あそこの家なら飼ってくれると知られていたようで、玄関前に仔猫が置かれていたこともあります。
 積極的に飼おうとしていたわけではないけれど、保健所に持って行くわけにも行かず、体力がある内はできるだけ飼っていました。
 餌をやり、トイレの世話をすることはもちろん、予防接種や去勢手術などをし、さらに、猫が沢山いるということで近所から来る苦情にも苦慮していました。

 でも、この映画では、その猫の世話をする、という現実が全く描かれていませんでした。

 純血種だけが野良猫として描かれるのは良いとしても、最初は確かに野良猫がやってきたから、と餌をたまにやったり、遊んであげていたとしても、こんなに長く、沢山の野良猫を世話をしているのなら、当然近所でも有名になります。
 食べるということは、排泄するということ。
 野良であれば、この家の近くの様々な場所で構わずに排泄するでしょう。

 それに、沢山集まれば人間同様に病気も発生しやすくなり、交尾もするわけで、赤ちゃんが生まれてきます。
 そういう現実が全く描かれていない点に興ざめしてしまいました。

 猫のかわいい姿だけを観たい、写真を撮りたい、というのは何と言うか、女性の(画像修正された)グラビアだけを観ていたい、モデルの女性だけを写真に撮りたい、それがリアルな女性であるかのように考えている人のようです。

 また、小説家の主人公が最初に評価された小説の冒頭を覚えていないという設定にも驚いてしまいました。
 レイモンド・カーヴァーのように、小説の冒頭に強い印象を与える小説が好きだからかも知れませんが、自分が最初に評価された小説の冒頭を覚えていないというのは、小説家としてありなのか?と思ってしまいました。

 批判的なことばかり書いてしまいましたが、物語全体を包むゆったりとした雰囲気や木村多江が演じるペットショップ店主のキャラクターがとても良かったです。
 この展開なら恋愛要素が入ってもおかしくなかったと思うのですが、安易に恋愛展開にならず、微妙な雰囲気を保ちつつラストを迎えたのも好印象でした。