映画と本と自分と山

映画が半分、残りは本と自分、時々山登りについて

「シング・ストリート 未来へのうた」

 ここのところ、観たいと思ってチェックしていた作品が相次いでAmazonプライムで観られるようになりました。
 今回は、Podcastを聞き始めた当初から聞いている番組で以前紹介されていた作品です。

#159 映画「シングストリート」に感動した話 MUSIC: Viola Beach – 白と水色のカーネーション|音楽と雑談のポッドキャスト

 


シング・ストリート 未来へのうた(字幕版)

 

youtu.be


映画『シング・ストリート 未来へのうた』公式サイト

作品データ映画.comより)
監督ジョン・カーニー
原題 Sing Street
製作年 2015年
製作国 アイルランド・イギリス・アメリカ合作
配給 ギャガ
上映時間 106分
映倫区分 PG12

ストーリー(公式サイトより)
1985年、大不況のダブリン。人生14年、どん底を迎えるコナー。父親の失業のせいで公立の荒れた学校に転校させられ、家では両親のけんかで家庭崩壊寸前。音楽狂いの兄と一緒に、隣国ロンドンのMVをテレビで見ている時だけがハッピーだ。ある日、街で見かけたラフィナの大人びた美しさにひと目で心を撃ち抜かれたコナーは、「僕のバンドのPVに出ない?」と口走る。慌ててバンドを組んだコナーは、無謀にもロンドンの音楽シーンを驚愕させるPVを撮ると決意、猛練習&曲作りの日々が始まった――。

勝手に五段階評価(基本的に甘いです)
★★★★☆

感想
 
ひとくくりに言ってしまえば、ボーイミーツガール物語です。
 ある日少年が少女に出会って、彼女に振り向いてもらうために必死で努力する。
 彼女は最初真剣には振り向いてくれなかったけれど、必死で向き合ってくる彼に惹かれていく。

 物語の流れとしては目新しいものはないのですが、この作品の良さは、1985年のダブリンというところにあります。
 イギリスは見えるところにあるけれど遠く、アイルランドの経済はうまくいっておらず、学校は伝統的カトリックなのだけれど、そこに通う学生たちは荒れていて、神父たちは彼らの暴力には目をつむる一方、権威主義的に接してくる。
 音楽も、経済も、そして生き方も近くて遠いイギリスに希望を見出している。
 このことが、主人公コナーがラフィーナと出会って成長していく背景としてうまく絡み合っていきます。

 コナーが最初に憧れている音楽はイングランドのものですし、ラフィーナも1度はロンドンへ行こうとするけれど失敗する。
 晴れていれば見えるその場所への憧れだったり、あるいは、バンドを組むときに唯一の黒人だからとンギグをメンバーに誘うという、そのちょっとしたズレというか背景にもイングランドとは違うアイルランド、ダブリンの情況が現れていました。

 コナーたちがシング・ストリートというバンドを組み、移り変わっていく様子は、同じようなことをしなくても、ある種の通過儀礼なようなものだとも感じるのですが、そのときにしか出来ないひたむきさというかまっすぐしか見えていないところが羨ましく感じました。

 また、付け足しのようになってしまいますが、シング・ストリートが歌う曲も良かったです。
 1つ、あるいは特定の曲を何回も流したりするのかな、と思っていたのですが、1つ1つが違う曲で、その曲を作った背景なども分かるので、映画の内容が歌詞によって補強されるような感じでした。