映画と本と自分と山

映画が半分、残りは本と自分、時々山登りについて

「人生の特等席」

 先日の「グラン・トリノ」同様クリント・イーストウッドが関わる作品です。
 「グラン・トリノ」が観たことないと思って、実は観たことがあった作品で、今度はさすがに観たことがないはずと思って、最後まで観終わったあと、記録を残そうとしたら、5年半前に観た記録が残っていました…。
 まぁ、ブログには書いていなかったのと、ほぼ記憶に残っておらず、初見の様に観られたので、感想を書いておこうと思います。

 


人生の特等席 (字幕版)

 

youtu.be

 

【ワーナー公式】映画(ブルーレイ,DVD & 4K UHD/デジタル配信)|人生の特等席

 

作品データ(映画.comより)
監督 ロバート・ローレンツ
原題 Trouble with the Curve
製作年 2012年
製作国 アメリ
配給 ワーナー・ブラザース映画
上映時間 111分
映倫区分 G

 

ストーリー(公式サイトより)
大リーグ最高のスカウトのひとりとして何十年も敏腕をふるってきたガス・ロベル(クリント・イーストウッド)は、努力で補ってきたものの、そろそろ年齢による衰えをごまかしきれなくなってきている。それでも、バットに当たる音だけでどんな球かを言い当てられる彼は、そのキャリアを静かに閉じるつもりはまったくない。
 だが、そんな彼も自分の意志だけではどうにもならないことがある。アトランタ・ブレーブスのフロントが、彼の能力に疑問を抱き始めたのだ。全米でもっとも注目を集めている天才バッターが次のドラフトにかかってくるため、彼らはなおさら神経質になっている。苦しい立場に追い込まれたガスを助けられるかもしれない唯一の人物は、よりによって彼が決して助けを求めないであろう人物、娘のミッキー(エイミー・アダムス)だった。アトランタの有力法律事務所で雇われ弁護士として働く彼女は、そのやる気と野心によって事務所の共同経営者への昇格を目前にしている。ガスは妻を亡くしたとき、シングル・ファーザーとして子育てをする心構えができておらず、ミッキーにとって父はずっと遠い存在だった。大人になった今でさえ、ごくたまに一緒に過ごしても、野球がかかわるとガスは簡単に娘の存在を忘れてしまう。ミッキーは、父親にとって野球は初恋のような特別なものだと思っている。
 父のキャリアを救おうとすれば、自分自身のキャリアを危うくしかねない。だが、不本意ながらも、そしてガスの抵抗にもかかわらず、ミッキーは、スカウトのためにノース・カロライナまで行くというガスに付き添うことにする。そして、仕方なく何年かぶりに一緒に過ごすうちに、ふたりは、相手に関して新たな発見をし始め、それぞれの過去と現在に関して長く秘められてきた真実が明らかになっていく。それはふたりにとっての将来の可能性を変えるものかもしれないのだが……。

 

勝手に五段階評価(基本的に甘いです)
★★★★☆

感想
 この作品は製作と主演がクリント・イーストウッドではあるものの、監督はロバート・ローレンツです。
 なので、先日の「グラン・トリノ」でも触れたように、欠けたり弱い部分がある人間を、その欠けたり弱い部分を受け入れ、それが強みにもなるということを伝えてくれる点がクリント・イーストウッド作品の良いところだと思うのですが、今回は欠けたり弱い部分がちょっと足りないかな、という感じがしました。

 でも、「グラン・トリノ」同様、欠けたり弱い部分がある人間が、その欠けたり弱い部分を受け入れ、強みにもなるという展開は同じで、特に今回の場合は、自分自身が受け入れるだけでなく、娘ミッキーが父ガスを補うことで、親子関係を修復しつつ最強のタッグを組むという点が違っています。

 特に、クリント・イーストウッドの私生活に照らし合わせてみれば、5人の女性との間に8人の子どもがいるとされていて(町山智浩 映画『運び屋』を語る)、それを考えると、ミッキーが父親に捨てられたと思っていたとガスに思いをぶつけるシーンは感慨深いものがありました。
 監督ではないものの、制作に関わっているのでクリント・イーストウッド自身が子どもに伝えられていない思いだとか、その上で自分は自分で生きているけれど、子どもたちも立派に生きているから大丈夫だ、と間接的に伝えようとしているのかな、とも思いました。

 個人的に心強かったのは、幼少期に1年間全く連絡を取らなくても、そして、中学校からは寄宿学校に入り、連絡を取らなかったにもかかわらず、親子関係が続いている点です。
 去年の4月から突然子どもたちから引き離され、絶望的な気持ちが長い間続いていましたが、この映画を観ると、それでも親子関係は続いていくという希望を感じました。