ヤマシタトモコ『違国日記』
最近、積ん読があまりにもひどいのと、ストレスが溜まるとネットでポチる傾向があるのでなるべくそういう方向に流れないようにと、打開策として無料で読める作品をKindleで眺めていたら、評価が高かったので読んでみた作品です。
読んでから、この作品のことを書くまでの間に、いつも聴いているラジオ番組(Session22)でも荻上チキさんが紹介していたので、1巻だけではなく、続きも読んでみたくなってしまいました…。
ちなみに、pixivでも何話か読めるようになっていました。
違国日記 - pixivコミック
違国日記(1) (FEEL COMICS swing) Kindle版
あらすじ(特設サイトより)
高代槙生(35)は姉夫婦の葬式で遺児の朝(15)が親戚間をたらい回しにされているのを
見逃せず、勢いで引き取ることに。
しかし姪を連れ帰ったものの、翌日には我に返り、持ち前の人見知りが発動…!
槙生は、誰かと暮らすのに不向きな自分の性格を忘れていた………。
引きとられた朝は、"大人らしくない大人"槙生との暮らしを物珍しくも素直に受け止めていて───?
勝手に五段階評価
★★★★★
感想
物語のあらすじは上に載せたとおりで、(仲の悪かった)姉の子が親戚の間でたらい回されているのを見て、引き取ることになった独身暮らしをしている小説家の槙生(女性)が姪を引き取り、一緒に暮らし始める、という物です。
勢いで姪を引き取るとは言ったものの、長年一人で暮らしてきて、たとえ「家族」であっても誰か「他者」と生活することが難しいと実感している槙生と、殆ど会ったことがないけれど受け入れてくれたことで少し安心しつつも、タイトル通り「異国」かと思うかのような今まで見たことがない、接したことがない「大人」との生活を受け入れていく朝の日常を描いています。
僕も自分の実家には22年間、結婚してからの自分の家族とは12年間暮らしていましたが、元々生まれた家族だろうが、結婚(や同棲)しての家族だろうが、そもそも「他者」であることは変わりがありません。
だから、一緒に暮らし始めるときにはお互いの「ルール」みたいなものに「変だな」と感じたり、戸惑ったりするのですが、この作品の主人公槙生が誠実だと思うのは、相手を「変だ」とするのではなく、自分はこういう人間だから、と自分のことを「変だ」とは言わないけれども、自分にはこれが出来て、これが出来ない、だから、あなた(朝)が戸惑うかもしれない、と開示している所です。
(仲の悪かった姉の子だということもあり)愛せるかはどうかはわからないけれど、守ることは約束します、と。
結局、パートナーとか家族ってこういうことが一番の基本なんじゃないかな、と僕は思います。
家族だから何を言っても良いわけじゃないし、愛さなきゃ行けないわけでもない。
愛せないかもしれないけれど、大切にするよ、ということを伝えることは出来るし、自分には出来ることと出来ないことがあることを伝えることも出来る。
他人と暮らすということだけでなく、誰かと関わるということの基本的な部分を示していると感じました。