映画と本と自分と山

映画が半分、残りは本と自分、時々山登りについて

山田しいた『乙女文藝ハッカソン』(1)

 いつも(ラジオクラウドで)聞いているラジオ番組Session22、そこで番組パーソナリティの荻上チキさんが時々(隔週か月1くらい)オススメの漫画などを紹介しています。

【音声配信】「荻上チキ・オススメ!<小説・映画・舞台>いろんなカルチャー活動が楽しいと思えるマンガ3冊」▼『乙女文藝ハッカソン』『木根さんの1人でキネマ』『アクタージュact-age』▼2019年7月5日(金)放送分(TBSラジオ「荻上チキ・Session-22」平日22時~) 

 
 今回は、その中で紹介されていた作品です。
 『木根さんの1人でシネマ』は読んだことがあり、『乙女文藝ハッカソン』の評価が高かったので手に取って読んでみました。
 最初の何話かは無料で読めるようにもなっています。

乙女文藝ハッカソン - 山田しいた / 第1話 文藝沼 | コミックDAYS

 


乙女文藝ハッカソン(1) (イブニングKC)

 

『乙女文藝ハッカソン(1)』(山田 しいた)|講談社コミックプラス

 

内容紹介講談社より)
小説執筆は孤独なもの――? 作家志望の安達倉麻紀が入学した地方大学の文藝部には、そんなイメージを覆す奴らがいた! ITエンジニアたちがおこなう開発競争「ハッカソン」(ハック+マラソン)の概念を持ち込み、チームワークによって傑作小説を生み出すヤバい面々! SF、ミステリ、ファンタジー、純文学……独自の創作方法でそれぞれのジャンルを極めんとする乙女たちの文藝青春譚、開幕!

感想
 物語(小説)がどのように作られていくのか、あるいはどういう作り方が出来るのかという点でとても興味深い内容でした。
 僕は文学部にいたものの、いわゆる学問としての「文学」はちゃんと学んだことがなく(かなり特殊な学科にいたため、そっちの基礎を学ぶだけで精一杯でした)、一つ一つの作品の構造などを考えたことすらありませんでした。
 なので、具体的で割と有名な作品を挙げながら、作品がどのような構造になっているのか、どのようにすれば作ることが出来るのかということが丁寧に説明されていたのは、「もしかしたら自分も何か書けるかも?」と思わせてくれる内容でした。

 けれど、僕にとっては一つの物語(小説)がどのような作りになっているのかを詳しく説明されることで、逆に情報量が多すぎました。
 たとえば僕は何かの本で出てきた本がどのような内容なのか知りたいし、実際にそれを読んでいくというような形で様々な作品を読んできたのですが、この作品で触れられる作品があまりにも多いので、「これはどんな作品なんだろう」「どんな内容なんだろう」とチェックしているだけで、疲れてしまうというか、前に読み進めることが出来なくなってしまいました。

 それというのも、この作品で触れられる文芸(文藝)は圧倒的に日本文学が多いからで、僕は日本の文学よりは海外の作品、日本の作品も最近のものよりは、既に評価が定まっているようなちょっと古いものを読んできたので、「名前は知っているけれど、その作品の内容が分からない」というものが多く戸惑ってしまいました。
 そのこと、つまり、日本の文学作品を中心に語れていることに僕自身が距離を感じてしまいました。

 これから小説を読み始めたいとか、あるいは、何か物語を書いてみたいと思っている人には色々ヒントを与えてくれる作品だとは思いますが、僕のように、(最近かなりストレスを感じていて)気晴らしに漫画を読みたいという人にはちょっと内容がそれこそ「文藝」に寄りすぎているような感じがしました。