映画と本と自分と山

映画が半分、残りは本と自分、時々山登りについて

「娼年」

 公開時にちょっと話題になっていたので積極的に観ようとは思っていなかったもののAmazonプライムで観られるようになっていたので観てみた作品です。

 


娼年

 

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映画『娼年』公式サイト

 

作品データ映画.comより)
監督 三浦大輔
製作年 2018年
製作国 日本
上映時間 119分
配給 ファントム・フィルム
映倫区分 R18+

ストーリー(公式サイトより)
主人公の森中領は東京の名門大学生。日々の生活や女性との関係に退屈し、バーでのバイトに明け暮れる無気力な生活を送っている。ある日、美しい女性がバーに現れた。女性の名前は御堂静香。「女なんてつまんないよ」という領に静香は"情熱の試験"を受けさせる。それは、静香が手がける会員制ボーイズクラブ、「Le Club Passion」に入るための試験であった。 入店を決意した領は、翌日から娼夫・リョウとして仕事を始める。最初こそ戸惑ったが、娼夫として仕事をしていくなかで、女性ひとりひとりの中に隠されている欲望の不思議さや奥深さに気づき、心惹かれ、やりがいを見つけていく

勝手に五段階評価(基本的に甘いです)
★★☆☆☆

感想
 原作は石田衣良さんの小説(『娼年』)です。
 率直に言うと、全然良くなかったです。
 なぜこの作品が女性限定上映が繰り返されるなど支持されたのか僕には理解出来ませんでした。
 特に女性に支持されたという点がよく分かりませんでした。

 女性にも「性欲」がある、女性だけではなく、年齢を問わず「性欲」があって、その「性欲」の中身もただのセックス だけでなく、主に男性向けポルノで展開されているような暴力的なセックス、年齢に関係のないセックス、セックスではなく、マスターベーションを見せつけるなど様々な「性欲」が「女性」にもある、ということを可視化した点では支持されるのも分かります。
 特に女性は、主に男性向けポルノや性風俗はちまたにこれでもかとあふれかえっているのにもかかわらず、表立って表明しにくいと思うので、それ自体を可視化したことが支持されたのかも知れません。
 あと、松坂桃李が多くの場面でほとんど裸で出てくるので松坂桃李ファンには良かったのかも知れません。

 が、僕は物語が展開されて行くにつれてどんどん興醒めていきました。
 それは何故かというと、基本的にセックスシーンが主に男性向けポルノで展開されるかのようなセックスだったからです。
 現に松坂桃李「AVを観て研究した」と言っているのですが、僕はその主に男性向けに作られたというか、男性の「性欲」を満たすことを目的としたポルノはリアルではないし、少なくとも僕はそれをリアルな場で求めてないし、性欲が満たされるとも、女性がそれを求めているとも思えないので、女性の「性欲」を可視化するどころか、これは男性の性欲を満たすための作品なのではないか、と思いました。
 主に男性向けのポルノのセックスを終始見せられるかのようで、原作の小説だったらまた違う印象だったのかも知れませんが、「これが女性の求めているセックスなの?」「気持ちいいの?」と疑問に感じました。

 ちなみにもう一つ気になったのは、セックスシーンで何回も出てくるコンドームを取り出す描写ですが、沢山の人が観るからこそ、これはまずいと思いました。
 望まない、特に若年層への性や妊娠の啓発活動をしているピルコンというNPOが動画を配信しているので下に載せるので観てもらいたいのですが、コンドームを取り出す時には中身を端っこに寄せて、開封時には全部開封するようにしてください。
 そうしないと、開ける際や、中途半端に切り口が残っているとそれで傷ついてコンドームに傷がつき、コンドームの意味がなくなります。

NPO法人PILCON(ピルコン)

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 なんでこんなことを書かなきゃいけないんだ、と半ば絶望的な気分になりながら書いていますが、それほど性のことは可視化されていないし、知られていないんだな、と痛感する作品でした。
 ちなみに、それでも★を二つにした理由は、女性という「性別」や年齢に関係なく「性欲」があるということを可視化していること、そして最後のシーンが良かったからです。