「アイ、トーニャ 史上最大のスキャンダル」
以前から観たいと思っていた作品がAmazonプライムで観られるようになったので観てみました。
今回チェックしていた理由は、映画評論家の町山智浩さん(たまむすび)とライムスターの宇多丸さん(アフター6ジャンクション)がそれぞれラジオで取り上げていたからです。
町山智浩 映画『アイ、トーニャ 史上最大のスキャンダル』を語る
宇多丸『アイ、トーニャ史上最大のスキャンダル』を語る!【映画評書き起こし2018.5.11放送】
アイ,トーニャ 史上最大のスキャンダル(字幕版)
作品データ(映画.comより)
監督 クレイグ・ギレスピー
原題 I, Tonya
製作年 2017年
製作国 アメリカ
上映時間 120分
配給 ショウゲート
映倫区分 PG12
あらすじ(シネマトゥデイより)
貧しい家庭に生まれ、厳格な母親ラヴォナ(アリソン・ジャネイ)に育てられたトーニャ・ハーディング(マーゴット・ロビー)。フィギュアスケートの才能に恵まれた彼女は、血のにじむような努力を重ねて、アメリカ代表選手として1992年のアルベールビル、1994年のリレハンメルオリンピックに出場する。ところが、元夫のジェフ・ギルーリー(セバスチャン・スタン)の友人がトーニャのライバルだったナンシー・ケリガンを襲い、その後彼女はフィギュア界から追放されるが……。
勝手に五段階評価(基本的に甘いです)
★★★★☆
感想
スポーツスキャンダルの物語ではありますが、「フィギュアスケート」という競技だからこそ求められる振る舞いや階級が現れ、求められるという社会階級の話にもなっていました。
父親は家を出て行ってしまい、母親に育てられるトーニャ。
スケートが得意だけれど、最初、その暮らしからスケートのクラスにも入ることを拒まれるところから始まります。
それでも才能と努力、そして、母親の金銭的サポートの中、成績を残していく。
トーニャはアメリカのスケート女子選手で初めてトリプルアクセルを成功させるのですが、それでも審判たちには認められない。
それを何故かと直接突きつけます。
すると、こんな答えが返ってきます。
”完璧なアメリカの家族”を見せてほしいのに君は それに抗ってる私に完璧な家族は いませんスケートだけじゃダメですか?
貧困層で育ち、そもそもスケートが出来るような家庭環境ではなかったにも関わらず這い上がってきたトーニャに向けられる「完璧なアメリカの家族」像。
そんなもの、最初からトーニャにはなかったし、今もなく、それは競技とは関係がないはずなのに競技に関係があるのだと求められる。
そして起きる「事件」。
この事件も、そもそもこのような環境にトーニャがいなかったら起きるはずもないことで、なのに「責任」を取らされてしまう。
しかも、トーニャにとって最も残酷な仕方で。
同じようなスキャンダル(「事件」)が起きるかどうかは別として、スポーツには今でも(というか日本の場合今の方が)家庭環境による影響が大きく、才能があっても育たない、見出すことが出来ない現実があります。
一番分かりやすいのは野球で、何故野球がオリンピックスポーツから外れるのかといえば、様々な道具をそろえなければならず一定の豊かな国でしか出来ないスポーツだから、普及もせず一定の国でしか行われないのです。
スポーツにはそういう経済的な側面がいつだってあるということを改めて痛感させてくれる作品になっています。