今村夏子『星の子』
※新しい仕事の拘束時間が長いため、今後毎日の更新が難しくなっています。
僕の生存確認で読んでいる人がいましたら、TwitterかInstagramを覗いてもらえたらと思います。
読もうと気になっていた小説が文庫になっていたので読みました。
先日(でもないか)芥川賞を『むらさきのスカートの女』で芥川賞を受賞していましたが、野間文芸新人賞を受賞したこの作品が、確かラジオ番組で紹介されていて気になっていました。
星の子 (朝日文庫)
朝日新聞出版 最新刊行物:文庫:星の子
内容(朝日新聞出版より)
林ちひろは中学3年生。病弱だった娘を救いたい一心で、両親は「あやしい宗教」にのめり込み、その信仰が家族の形をゆがめていく。野間文芸新人賞を受賞し本屋大賞にもノミネートされた、芥川賞作家のもうひとつの代表作。
勝手に五段階評価
★★★☆☆
感想
今村夏子さんの作品(というか本)を読むのはこれで2回目ですが、正直な所、短編集である『こちらあみ子』の 方が圧倒的に良かったです。
内容はカルト(宗教っぽい)に入れ込む両親とそれに巻き込まれる姉と主人公を描く物語です。
ある意味「宗教の人」である僕にとっては、特に目新しいものも何もなく、何故これが高い評価をもらえるのかわかりませんでした。
高い評価を得ているということは、つまり殆ど人はカルト宗教とは無縁な生活を送っているということなのでしょうか。
それはそれで良かったと思うのですが、逆に言えば、僕はあまりにも「普通ではない」「宗教の人」にいる、ということなのかも知れません。
僕自身は父方がクリスチャンだったので、幼児洗礼(自分の意思関係なく赤ん坊の時に)を受けているので、一応クリスチャンということになっています(僕で4代目)。
そして、僕自身がキリスト教学(と神学)を学んで来たということもあり、「カルト(宗教)」や「新宗教(新興宗教)」が割と身近にありました(母が一時期新宗教の教祖の本にはまっていて、僕が小学校高学年から中学生の時はどうすれば良いのかともやもやしていました)。
大学生の時には(今でもあるのかな?)、大学の校内で近づいてきた人に誘われて行ったイベント(的なもの)がカルトの集会で逃げられなかったり、洗脳されてしまったりすることが起きていて、僕にどうしたら良いのか相談してくる友人もいました。
ということで、僕にとっては割と身近な「カルト(宗教)」や「新宗教(新興宗教)」なので、ここに書かれている内容も、「まぁ、そうだろうな」という程度でした。
印象に残ったのはラストの場面ですが、それ以外は僕にとっては「当たり前」の光景過ぎて、逆に何故これが高評価を得たのかモヤモヤとしてしまいました。
なんというか、この作品が高評価を得るということは、それほど日本の宗教リテラシーが低いことを現しているような気もして、残念な気もしました。