映画と本と自分と山

映画が半分、残りは本と自分、時々山登りについて

「 31年目の夫婦げんか」

 結婚(事実婚含む)生活も終了し、それから半年経ったにも関わらず、相変わらずその精算に時間も体力も精神力も削られています。
 結婚式を挙げたとき、本当に大変だったので、二度としたくないと思いましたが、精算するもの本当に大変で、二度としたくない、と痛感しています。
 ちなみに、なんで精算に時間がかかっているのかというと、元配偶者が財産分与に応じないからで、当然結婚期間に形成された財産を二分割するはずが、「○○(僕)にはそんな権利はない」と主張し、金融資産を開示しなかったり、調停の日程を遅らせたり来ているからです。
 財産分与についてはまたどこかで書くとして、今回は、その結婚生活を終わらせるかどうか、最後の機会が描かれている作品です。
 


31年目の夫婦げんか(字幕版)

 
作品データ映画.comより)
監督 デビッド・フランケル
原題 Hope Springs
製作年 2012年
製作国 アメリ
配給 ギャガ
上映時間 100分
映倫区分 PG12

あらすじシネマトゥデイより)
変わり映えのない毎日を送る結婚31年目の夫婦、ケイ(メリル・ストリープ)とアーノルド(トミー・リー・ジョーンズ)。これまでの夫婦の生活を改めたいと考えていたケイは、フェルド医師(スティーヴ・カレル)のカップル集中カウンセリングを知り、夫に知らせずに予約を入れる。セラピー参加に反対していた夫を連れ、二人はメーン州のフェルドのもとを訪れた。そして、カウンセリングがスタートしたものの……。

勝手に五段階評価(基本的に甘いです)
★★★★☆

感想
 主演は、メリル・ストリープと、日本の缶コーヒーのCMでも有名なトミー・リー・ジョーンズの2人です。
 メリル・ストリープ演じるケイが大学生だったときに出会った2人は、現在結婚31年目。
 2人の子どもたちはそれぞれ自立し、1人は結婚もしています。

 最初にちょっとだけ違和感を書くと、メリル・ストリープトミー・リー・ジョーンズの2人が大学で出会って結婚し今31年目ということは、50歳代、あるいは交際期間が長かったとしても60歳くらいだと思うのですが、2人ともそれよりちょっと上の年齢に見えました。
 あくまでも、僕の主観なので、もっと老けて見える50歳代は当然現実にもいるのですが。

 さて、この映画、一番良かったのは、メリル・ストリープ演じるケイのかわいさでした。
 日本語で「かわいい」というのも違和感があり、「cute」な感じでした。
 冒頭で、もじもじしながらアーノルドにセックスを求める様子から始まり、夫婦関係を見直すための本を買いに本屋さんでひそひそと求める様子、文句を言いながらもアーノルドが夫婦カウンセリングに一緒に来てくれた時の嬉しそうな表情、それら全体の様子がとてもcuteでした。

 この作品を通して分かったのは、夫婦、パートナー関係で起きてくる問題は、日本の夫婦でも、欧米など日本以外の夫婦でも本質的には同じだと言うことです。
 スキンシップがなくなり、会話、特に自分の気持ちを話す機会がなくなり、セックスレスになり、お互いに触れることもなくなり、相手の情報は沢山知っていても、どんなことを考えているのかは全く分からない。

 作品の中ではカウンセラーと共に、それらの夫婦間にある溝を埋めるための具体的なアプローチが出てくるのですが、これも日本でも変わらないように思いました。
 自分の気持ちをちゃんと伝えているか(伝えていたか)、過去に思っていたことを伝え、その上でこれから伝えられるようにどうしたら良いのか、具体的な方法を提案していく。
 また、最初は恥ずかしがったり、怒ったりしていた、性に関することも、当然話をし、実際に少しずつ身体に触れる機会を作りながら、セックスすることもチャレンジしていく。

 アーノルドはカウンセリングに渋々ついてきて、夫婦関係が深刻な状態にあることも理解していなかったのですが、ケイは、自分で高額なカウンセリング費用を払うほど修復を望んでいました。
 この点がこの物語のラストに大きな影響を持っていると思います。
 カウンセリングに通い続けている中では、ケンカをしたりもしますが、そもそも、ケイは修復したいと願っていた。
 そして、渋々でもアーノルドはそれに応じた。

 僕も夫婦関係がこのままだとダメだと感じていたので、カウンセリングなどを元配偶者に提案したこともありますが、元配偶者は応じませんでした。
 離婚する夫婦というのは、僕らと同じく、そもそも修復しようと思ったときに、一方が応じなかったりした結果、そのまま終わりになるのではないか、と思います。

 では、渋々でも応じてもらうにはどうすれば良いのか、ということなのですが、それを考えるよりは、大きな溝が出来ないような予防をすることが大事なのだと思います。

 今回の作品からヒントをもらいながら、僕だったらどういう予防をするか。
 

・寝室は分けない(一緒に寝る)
・一週間に一度、2人でゆっくり話す時間を作る(出来れば決まった日にしておき習慣化することと、もし出来ない日があったら、無しにするのではなく、代わりの日を決める)

 
 特に2つ目のものは、先日読んだ対人関係療法でのパートナーシップにおいての具体的なアプローチも参考にしました。
 この作品でもよく分かるのは、夫婦やパートナーとの関係に溝が出来るのは、自分の気持ちを話さなくなることと、スキンシップがなくなること。
 その要因として、例えば仕事の忙しさだとか、何らかのきっかけで一緒に寝るのをやめることなどがあるのですが、逆に言えば、そうならないための習慣を作っておけば、溝は拡大し続けることはないし、ある日を境にして終わりの日を迎える、ということにはならない、ということです。

 結婚してから20年近く子どもがおらず、その後に子どもを授かり、今も夫婦仲良くしている(ように僕には見える)友人がいるのですが、その夫婦は2人でゆっくり話すということを20年近くしてきたので、子どもが生まれてからもずっとしているそうです。
 気持ちを伝え合う仕組みが生活の中に取り込まれていて、習慣化している。
 些細なことかも知れませんが、こういうことが夫婦やパートナー関係においては、時間を積み重ねていくからこそ、大切なのだ、ということを改めて教えてもらいました。