映画と本と自分と山

映画が半分、残りは本と自分、時々山登りについて

「インクレディブル・ハルク」

 「アベンジャーズ」を観たことで改めてマーベル作品を観てみようと思い、今まで観ていなかった作品を観始めました。
 一番最初は「アイアンマン」ですが、「アイアンマン」はテレビでも度々放映されていたこともあり観たことも記憶にも残っていたので、「インクレディブル・ハルク」を観てみました。

ちなみに、順番としては以下のようになっています。
【フェイズ1】
アイアンマン」(2008年公開)
インクレディブル・ハルク」(2008年公開)
アイアンマン2」(2010年公開)
マイティ・ソー」(2011年公開)
キャプテン・アメリカ/ザ・ファースト・アベンジャー」(2011年公開)
アベンジャーズ」(2013年公開)
 


インクレディブル・ハルク(字幕版)

 

作品データ映画.comより)
監督 ルイ・レテリエ
原題 The Incredible Hulk
製作年 2008年
製作国 アメリ
配給 ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
上映時間 114分

あらすじシネマトゥデイより)
ブルース・バナー博士(エドワード・ノートン)は緑色の巨人ハルクに変身する能力を隠して生活する日々を送っていたが、ハルクの変身の秘密を知ったテロリスト(ティム・ロス)が怪人アボミネーションと化し、ニューヨークの街を襲う。恋人ベティ(リヴ・タイラー)と街を守るため、ブルースはハルクに変身して危機に立ち向かう。

勝手に五段階評価(基本的に甘いです)
★★★★☆

感想
 最近「アベンジャーズ」を観たので、ハルクの過去の出来事は大体分かっていたのですが、改めて観てみると、全然違っていました。
 「アベンジャーズ」ではハルク=バナー博士はマーク・ラファロが演じていましたが、今回の作品では、エドワード・ノートンが演じていました。
 また、「アベンジャーズ」では、中年男性のマーク・ラファロが演じているということもあり、恋愛要素というか、恋人がいることをほのめかすような描写も一切ありませんが、「ハルク」ではかつての恋人との接触があったりと、人間像として全く違うものになっていました。
 (でも、調べてみたら、エドワード・ノートンとマーク・ラファロはほとんど同じ年齢だったので、年齢設定というよりも、俳優によるキャラの違いということなのでしょう)

 エドワード・ノートンは結構好きな俳優で、自分としては「バードマン」以来に観たので、なんとなく嬉しくなりました。
 また、最近は子育てなど家庭生活がメインですっかり映画に出てこなくなってしまったリヴ・タイラーがかつての恋人ベティ役で出ていたのも嬉しかったです。

 さて、内容としては、英語のレビューのタイトルに書いてあった「good enough」が全てを語っているように思いました。
 good enough=「十分」というか、もっと意訳すれば、「こんなもの」というか、「可も無く不可も無く」とか、そういったところでしょうか。

 物語を科学技術にともなう倫理の問題と捉えれば、ヘブライ語聖書(いわゆる『旧約聖書』)の思想を反映しているのか、人間が神の領域に手を出してしまうことへの警告であると観ることも出来ます。
 人間に備わっている能力、あるいは人間の一部の能力だけを強化しようとした結果、暴走=ハルク状態に陥ってしまう。
 それを(これまた人間の力で)抑え込もうとし、成功したかに見えたけれど、結局は押さえ込むことが出来なかった。

 そのときに残る課題としては、暴走してしまった肉体にもまだ「理性」が残っているのか、という点です。
 肉体の直接的な改造ではないものの、『創世記』のアダムとエヴァが「善悪の知識の木の果実」を食べてしまうことにより、楽園を追放された物語が最も有名だと思いますが、楽園から追放された彼らに「理性」が残っていたのかどうか。

 何千年も前から人類は今以上の能力を手に入れようとして来て試行錯誤してきた歴史があるわけですが、その試行錯誤の歴史と、それを夢想する人たちへの1つの答えにはなっているのかな、と思います。

 けれど、「アベンジャーズ」を観るに当たっては、キャストも大幅に変わってしまっていることもあり、この作品を観ていなくても特に問題は無いと思います。