映画と本と自分と山

映画が半分、残りは本と自分、時々山登りについて

長沼睦雄『10代のための疲れた心がラクになる本: 「敏感すぎる」「傷つきやすい」自分を好きになる方法 』

 自分がHSPだと分かってから、HSP関連の本を読むようになりましたが、今回は書籍で読んだのではなく、cakesでの連載が終わった(=読み切った)ので、感想を書いてみます。
 著者は以前紹介した『「敏感すぎる自分」を好きになれる本』と同じ長沼睦雄さんです。
 タイトルの通り10代向けに書かれてはいますが、心身の状態を確かめる方法や、リラックスさせるための具体的方法なども書かれていて、それが良かったです。
 

cakes.mu

 


10代のための疲れた心がラクになる本: 「敏感すぎる」「傷つきやすい」自分を好きになる方法

 

株式会社誠文堂新光社 / 10代のための疲れた心がラクになる本

 

内容誠文堂新光社より)
友だち関係、勉強、家族、容姿……ストレスは多いけれど、大丈夫! 君は変われる!
□ 心がざわつくこと、つらいことが多くて、イヤな気分に押しつぶされそう
□ 朝起きると「また一日が始まる」と、どんよりした気分になる
□ 笑うことができなくなっちゃった
□ 自分のことをわかってくれる人がいない、ひとりぼっちだと感じている
気がつけば、こんな状態になってしまっていませんか?
でも、大丈夫。
心がパンクしかけていても、自分で自分の心をセルフケアできるようになると、必ずラクになります。生きやすくなります。
大切なのは、知識、心構え(マインド)、行動(技術)、この3つです。
1) まず、「この状態はどういうものか。治す方法があるのか」といったことを知る。
2) 次に「よし、治すぞ」という心構えをもつ。
3) そして、治していくために必要な具体的な技術を知り、行動を起こす。
この3ステップです。
どうすることが自分自身をラクにするのか、心の声を聞いて、一歩踏み出せばいいのです。
行動に移せば、状況は変わります。
この本は、「敏感気質(HSP/HSC)」の第一人者でもある児童精神科医・長沼睦雄先生が、これまでの臨床経験を総動員して書きました。
前半は「知識編」、後半は「技術編」。
この本に書いてあることを、小さなことひとつでもいいから、何か実践してみてください。
きっと状況は変わります。
大人ももちろん、とりわけ、多感な思春期を生きる10代の方にこそ、ぜひ読んでほしい本です。

勝手に五段階評価
★★★★★

感想
 30代の僕でもとても大切だなと思った箇所をあげてみます。

 休むとはどういうことなのか。一度、整理しておきましょう。
 まずは、睡眠を十分とり、疲れをとること。10代なら、毎日8~10時間の睡眠が望ましいって知っていますか。
 それから、バランスのとれた食事を、3食しっかりとること。
 身体の緊張やこわばりをほぐして、リラックスさせること。
 そして、ストレスをなくして、心おだやかに過ごすこと。
 この条件をみたすことが、「休養する」ということなのです。


 最近、ずっとストレスフルな生活を送っていたこともあり、休むことにはかなり気を使ってきました。
 十分な睡眠、バランスの取れた3回の食事、身体の緊張をほぐしてリラックスさせ、ストレスをなくし、心おだやかに過ごすこと。
 最初のふたつ、十分な睡眠は薬の助けを借りて、食事はサラダ、果物、食物繊維、発酵食品を取れるように気を付けながら、ほぼ毎日同じものを食ています。
 身体の緊張をどうやってほぐしているのかというと、僕の場合はボルダリングです。
 ボルダリングを始めたときは身体をほぐすとかリラックスさせるということは考えてもいなかったのですが、結果的に、仕事で緊張しこりにこった肩や首がほぐれるようになりました。
 しかし、問題なのは、最後の「ストレスをなくして、心おだやかに過ごすこと」。
 これが一番難しいです。
 「ストレスをなくして、心おだやかに過ごす」ために、転職をするということ自体は決めたものの、次の仕事先が決まるまでは今の職場で働き続けなければならないので、どうしても「ストレスをなくして、心おだやかに過ごすこと」が出来ません。
 ストレッサーである上司との接触があると一気にストレスを感じるのですが、そういうときにどうしたら良いのか、具体的な対処法が書かれていました。
 ちなみに、そもそもいつそのストレッサーである上司から話しかけられるか分からないので仕事中は常にマスクをして、物理的に「壁」を作るようにしていますが、それでもものすごくストレスを感じます。

 普通に呼吸をしているときは、息を吸うとか吐くということをとくに意識していませんね。でも、ストレスを吐き出したいときには、大きく息を吸って、長く息を吐くのです。(中略)
 長く吐ききると、大きく息が吸えます。吐く息とともに、マイナスの感情が吐き出されていきます。悪いものをみんな吐き出したあと、新鮮な空気が体内にたくさん入ってくる。息の入れ替えが気持ちの切り替えにもなるのです。


 マスクという予防・防御はしていますが、それでもストレスを感じたら、「大きく息を吸って、長く息を吐く」。
 「深呼吸すると良いよ」ということはよく言われることで、僕も言われたことがありますが、「長く吐ききる」というのがミソかな、と感じます。
 とにかく、吐く。
 職場で誰かに言葉ですぐに愚痴れなくても、とにかく息を吐ききる。
 これを心がけるようになって、少しだけ楽になりました。
 マスクで予防・防御しつつ、ストレスを感じたら息を吐ききる。
 そうすると少しですがその時の「つらさ」が軽減されるように感じています。

 先日、僕はモノではなく人間でいたいということを書きましたが、そんな気持ちの時だったこともあり、とても勇気づけられたのがこの文章です。
 

「できなくても、これが自分」と受けいれて、そういう自分を隠さずに出せることが、本当の自己肯定感です。
 人は評価してくれなくてもいい、君自身が自分のことを認めてあげればいいのです。


 僕はお金として評価されなくても良いし、競争もしたくありません

 幸せというのは、だれかが与えてくれるものではありません。自分で「うれしい」「楽しい」と思えるものを増やしていくことで、手に入れられるものです。

 
 自分が「うれしい」「楽しい」と思えるものは何なのか。
 うつのせいなのかよく分かりませんが、とにかく分かるのは、今の職場は楽しくないということと、たまに誘ってくれる友人の開く飲み会は楽しく、そこで出会う人たちとの出会いもうれしいということです。
 そこで出会う人たちは様々な仕事をしているのですが、いわゆる会社員は僕くらいでほぼいません。
 子どもたちだったりの保育やいわゆる福祉に関わっていたり、何かを作り出している人たちです。

 僕は自分では何かを作り出す才能はないと思っているので、やっぱり他の友人にも言われたように子どもたちに関わる仕事が「楽しい」と思えるのかな、と思っています。

 さて、せっかく正社員として初めて雇ってもらえ、3月から働き始めたばかりなのに、もう辞めるの?と誰かに言われたわけではないのですが、そういう気持ちがあります。
 それについても、学校で働いていた時には生徒たちに「つらかったら逃げていいんだよ」「つらかったら学校に来なくても良いんだよ」と言っていたにも関わらず、僕自身が「逃げちゃいけない」と自分自身を縛っていました。
 けれど、やっぱり、生徒たちに言っていたように、つらかったら逃げても良いし、その場から離れて良いと背中を押してもらえました。

 つらいと感じているひとつの状況のなかには、「変えられない」部分と、「変えられる」部分とが混じっています。「変えられない」ことに対してマイナス感情を募らせても、それはつらくなるばかりです。

 

「変えられない」ことに悩むのではなく、自分で「変えられる」ことに意識を向ける。
 自分の意思や努力でできることは何か。これは「自分軸」をもつことで気づけることなのです。


 「ストレスをなくして、心おだやかに過ごす」ために、ストレスをなくして過ごしたいのですが、色々動いた結果、結局、ストレッサーである上司から離れることはできませんでした。
 そして、自分自身が商品として扱われるということはこの業種では当たり前のことだということで、それは「変えられない」部分です。
 なので、これはもうどうしようもないので、「変えられる」部分、つまり、今いる職場だけでなく、仕事から離れようと決心することが出来ました。

 まだ辞めたわけではありませんが、次の仕事を本格的に探しつつ、子どもに関わる仕事に就くための勉強を始めました。