映画と本と自分と山

映画が半分、残りは本と自分、時々山登りについて

お守り作り 2

 先日、お守りを作ったことを書きました。
 お守りとして作ったのは、祖父母の写真で、それをお財布に入れることで、安心しようということだったのですが、やっぱり常に身につけているもの、そして当初から考えていたタウ十字をどうにかして身につけることが出来ないかと考え、タウ十字のお守りも作ることにしました。
 タウ十字とは下の写真の形をした十字架です。

 

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 僕にとってタウ十字を身につけることが何故お守りになるのかというと、僕がクリスチャンだからということではなく、タウ十字がフランシスコ会のシンボルだからです。
 シンプルに言うと、フランシスコ会の創設者であるアッシジのフランチェスコが好きだからです。
 (参照:アッシジのフランチェスコ - Wikipedia

 アッシジのフランチェスコという自分にとっての憧れの人物と関係しているので、様々な十字架がある中で、このタウ十字が僕には身近で特別な十字架の形です。
(十字架には様々な形があるので興味がある方はこのサイトなど見てみて下さい。
十字架の意味と種類――カトリック教会生活入門 | 聖パウロ修道会 / サンパウロ

 それこそ、祖父母の写真のお守りを作ったときにも書いたように、(心臓があるあたりに)このタウ十字の入れ墨をしようかと思っているのですが、時間的にも精神的にも余裕がないので、当面の間はサクッと作ったタウ十字のお守りを身につけることにしました。

 アッシジに行った際に買ったキーホルダーにもタウ十字がありますし、フランシスコ会の修道士さんからもらったタウ十字のロザリオ(木製)はあるのですが、常に身につけるということは出来ません。

 ということでどうしたのかというと、タウ十字のネックレスを作りました。
 タウ十字(金属製)自体は四ッ谷にあるローマ・カトリック教会の教会道具などを扱っているお店で買い、それにネックレスのチェーンを付け、身につけることにしました。

 こういうことを書いていると、信仰心があるように勘違いする人も出るかも知れませんが、あくまでも僕にとってはアッシジのフランチェスコ、あるいはイエスのシンボルである十字架であって、これを身につけたからと言って、神に守られてるとか思っているわけではありません。
 十字架はイエス殺害に用いられた処刑道具なので、たとえシンボルであっても人を殺す道具を身につけること自体にはかなり抵抗感があります(日本の現行処刑方法の首吊り縄のデザインのものを身につけるところを想像してもらえれば、少しは抵抗感を理解してもらえるかもしれません)。
 なので、あくまでもアッシジのフランチェスコの存在を自分の中で忘れないように、そして出来れば祖父母と同じような感覚でアッシジのフランチェスコに見守ってもらえたら良いなという感じで、お守りとして身につけています。

「チェリーボーイズ」

 僕は普段ラジオだけでなく、Podcastもいくつか聞いているのですが、その中に「本と雑談ラジオ」という番組があります。
 

booktalkradio.seesaa.net

 
 漫画家の古泉智浩さんと歌人枡野浩一さんがタイトル通り「本(の話)と雑談」をする番組なのですが、そこで古泉さんの作品について触れられていて、映画化もされているとのことだったので、観てみたのが今回の作品です。


チェリーボーイズ

youtu.be

 

映画『チェリーボーイズ』公式サイト

 

作品データ映画.comより)
監督 西海謙一郎
製作年 2018年
製作国 日本
配給 アークエンタテインメント
上映時間 113分
映倫区分 R15+

ストーリー(公式サイトより要約)
 とある田舎町。歯科医院の前に停車している車には、マスクを被った黒スーツ姿の3人の男がいた。目の先には、医院で働く笛子(池田エライザ)の姿があった。
 その数週間前。4年ぶりに、国森(林遣都)は幼馴染の親友である吉村(栁俊太郎)と高杉(前野朋哉)に再会した。彼はバンドを組むために東京に行っていたが、酒屋を営む父親・信明(吹越満)の病気を機に、地元に帰ってきたのだ。気づけば25歳にして、3人とも女性と縁のない生活を送っていた。
 さらに、3人は学生時代からの脅威でもある“プーチン”こと中出(石垣佑磨)に、いまだにイジメられ、童貞をバカにされていた。ナンパする勇気もなく、風俗に行く度胸もない彼らだったが、ある日、国森は童貞を捨てるために、3人でスケベな女を襲うという、とんでもない計画を企てる。そのターゲットに選んだのは、東京で風俗嬢をしていた過去を持つなど、さまざまな噂が絶えない笛子だった。
  明らかに、3人の中で何かが変わろうとしていた――。果たして、着々と計画を進める彼らは童貞を卒業し、理想とするオトナになることはできるだろうか?いざ、脱童貞大作戦へ!

勝手に五段階評価(基本的に甘いです)
★★★☆☆

感想
 
内容が内容だけに笑えませんでした。
 25歳になるまで童貞でレイプしてまでセックスしようとする。
 その考え方自体がおかしいぞ、と当然言われるし、本人たちも留まろうとするのですが、それでもある出来事をきっかけに決行しようとします。

 襲われる女性である笛子が言う「キモい」という言葉そのままの感想を終始僕も感じました。

 けれど、全くの駄作かというとそうとも言えないのが、ちょっと都会からは離れた場所に暮らす(それこそこの物語の舞台は古泉さんが暮らす新潟を感じさせています)閉塞感や、いつまでもついてくる地元でのカースト(上下関係)の苦しさです。

 僕が学生だったときにはスクールカーストという言葉はありませんでしたが、今気付けば確かにあったスクールカーストがイヤでたまらず、地元ともいえる中学校までの同級生たちとは連絡を取ろうという気はおろか、会おうという気持ちも起きません。
Facebookでは何人かつながっているものの)
 何故連絡を取りたくないのか、会いたくないのかというと、そのいつまでもついてくるカーストがイヤだからです。

 その時の苦しかった、周囲と無理に合わせようとしていた自分のことをどうしても思い出してしまうからです。
 けれど、僕は離れることが出来ますが、ここに登場する3人、少なくとも国森は地元に帰らざるを得ない、留まらざるを得ない理由があり、それが僕とは決定的に違います。

 僕は会いたくなければ離れていれば良いのですが、国森たちはそれが出来ない状況にいます。
 そういう苦しさをいつまでも伴いながら暮らしていくことはつらいだろうし、そこからもがこうとすること自体は理解出来ます。

 でも、だからといってそこから向かうのがレイプというのが、本当に残念でした。

奥田亜希子『心臓』

 いつも(ラジオクラウドで)聞いているラジオ番組、アフター6ジャンクション。
 先日、ライター・研究者のトミヤマユキコさんが「『人生のままならなさ』を味わえる漫画4選」ということで、漫画が紹介されていました。

www.tbsradio.jp

 
 その中で、『ゆりあ先生の赤い糸』と『あした死ぬには、』は読んだことがあったので、寡作ということも引っかかったので、この作品を読んでみることにしました。


心臓 (torch comics)

 

トーチweb 心臓

 

内容(トーチwebより)
ページが光っているような、眩いトーンワークが照らし出す胸の奥底。
吹き溜まりだと感じていた場所にあったのは、思いの外に美しいものかもしれない。
どこまでも繊細な才能が、研ぎ澄まされた感性で描く私たちのドラマ。

勝手に五段階評価
★★★★☆

感想
 短編集なのですが、今まで読んだことがない不思議な世界観の作品でした。
 僕が特に印象に残ったのは、表題作でもある「心臓」です。
 描かれていることを「理解」しようとしても中々うまくいかず、読み返すのですが、やっぱり未だに「理解」は出来ません。
 けれど、とても印象に残り、言語化出来ないもどかしさを感じます。

 でも、その「言語化出来ないもどかしさ」を描くことが漫画のもつ大きな役割や力だとすると、この作品はすごく完成されたものなのだと思います。

 他にも「ニューハワイ」や「神様」といった作品は、トミヤマさんが紹介しているように「人生のままならなさ」をそのまま味わえる内容になっています。

 それぞれが全く違う感じでありつつも、関連し合っているようでもあり、読む人によって、どれかあるいは複数の作品に引っかかるものがあると思います。

早良朋『へんなものみっけ!』

 先日紹介した『絶滅酒場』と同じ時にいつも聴いているラジオ番組(Session22)で番組パーソナリティの荻上チキさんが紹介しいていた作品です。
 

www.tbsradio.jp

 
 チキさんは、国立科学博物館に置いてあって知ったとのことですが、僕は新聞の書評を読んで興味を持ち読んでいました。

book.asahi.com


 連載ペースがゆっくりのため、僕が読み始めたのは2017年、今から2年前ですが、半年に1巻出るようなペースで、最近4巻が出たばかりです。


へんなものみっけ! (1) (ビッグコミックス)

 

へんなものみっけ! 1 | 早良 朋 早良 朋 | 【試し読みあり】 – 小学館コミック

 

内容紹介小学館より)
動物好き必見!命と向き合うお仕事。

感想
 ブログに書いてなかったので、今こうしてブログに書こうと発行元の小学館の紹介ページを見たら、あまりのざっくりさにものすごくびっくりしています。
 売る気あるんだろうか、というか、こんなにも丁寧に描いている著者が大切にされていないような気がして、心配です。

 内容はというと、とある市役所に務める主人公・薄井が市の博物館に異動するところから物語は始まります。
 市立の博物館はとても大きな規模とも、来館者も多いとも、予算も十分にあるとは言えない状況です。

 そもそも薄井にとってはその博物館でどんな仕事がされているのか全く分からない状況で配属されるのですが、それが読者である僕らにとってもとても良い視点になっています。

 僕も子どもたちと暮らしていた時は一緒に国立科学博物館福井県に行ったときには福井県立恐竜博物館などに行ったりしていましたが、「展示されるまで」の行程、あるいは、「展示されてない」もの、そして博物館に勤める人たちがどのような仕事を日常的に行っているのかは全く知りませんでした。
 なので、日頃どのような仕事をしているのか、どのように展示する標本を作っているのかなどとても興味深いものでした。

 先日出た最新刊の4巻では、北海道の釧路湿原へ行く様子や東京で化石発見ツアー(?)が描かれていて、北海道の釧路湿原へは行ったことがあるのと、東京での化石発見ツアーも知っている場所が沢山出てきていて、人工物ばかりで東京ってイヤだな、と思っていた僕にとっては、少し「自然」を感じることが出来ました。

ハラスメントホイホイ

 メンタルをやられている日々が相変わらず続いています。
 直接の原因は反りの合わない上司からのハラスメントなのですが、そういえばこの1年こんなのばっかりだなとも思います。 
 3月までパートで働いていた職場でもかなりひどいハラスメントを受けましたし、今回もまたハラスメントです。

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 なので、まぁ、自分としては出来ること(上司との対話だけでなく、もっと上の上司への相談や異動願いなど)はしましたが、結局改善されることもなく、環境が変わらないので、自分が変わること、つまり次の仕事を本格的に探すことにしました(探しています)

 そういえば、過去にも、最初のうつ病もハラスメントが原因でした(アカハラパワハラ)。
 元配偶者からもモラハラを受けていましたし、振り返ってみると、結構被害に遭っているなと改めて思います。

 ネットスラングで「メンヘラホイホイ」(参照:健康な女子さえも苦しめる「メンヘラメーカー」の罪(二村 ヒトシ,川崎 貴子) | 現代ビジネス | 講談社(1/5))という言葉がありますが、なんだかそれに似ていて、「こいつには何を言っても、何をやっても良い」と思わせてしまう要素があるのかな、と。
 でも、それははっきり言って僕が悪いわけではないし、そういう人自体が「病んでいる」と僕は思います。

 確かに最初のうつ病も、再発したうつ病もそういうメンヘラホイホイならぬ、ハラスメントホイホイ的に狙われた結果なのですが、僕の周りにいる全員が全員そういう人ではもちろんありません。
 僕の周りにいてくれる、親しくしてくれている人たちにはそういう人はいないので、さっさとそういう「こいつには何をやっても、何を言っても良い」というような態度を取って来る人がいる場所や環境から離れるのが最善だなと思うようになりました。

 人生は短く、人間はいくらでもいます。
 だから、自分と合わない人、自分には合わない環境で無理して体調を崩すなんて時間も体力も治療費も無駄なので、さっさとその人や環境から去って、自分も相手も尊重出来る人と環境を大切にしながら生きていこうと思います。

矢部太郎『大家さんと僕 これから』

 以前紹介したこともある矢部太郎さんの『大家さんと僕』、その後、大家さんが亡くなったことはニュースで知っていましたが、前作がとても良かったので、続編のこの作品も読んでみました。

 


大家さんと僕 これから

 

矢部太郎 『大家さんと僕 これから』 | 新潮社

 
内容(新潮社より)
季節はめぐり、初めての単行本が大ヒットとなった僕は、トホホな芸人から一躍時の人に。忙しい毎日を送る一方、大家さんとの楽しい日々には少しの翳りが見えてきた。僕の生活にも大きな変化があり、別れが近づくなか、大家さんの想いを確かに受け取り「これから」の未来へ歩き出す僕。美しい感動の物語、堂々完結。

勝手に五段階評価
★★★★★

感想
 
冒頭で矢部さんが「この作品はあくまでも自分が観たもので、フィクションです」ということを書いていることから、矢部さんの人柄、人への真摯さが伝わってきました。

 前作『大家さんと僕』は手塚治賞をしましたが、その時には既に大家さんは体調を崩していたそうで、その様子が描かれています。
 実際に矢部さんは大家さんが亡くなったあと数ヶ月に渡り、描くことが出来なくなってしまったそうですが、静かにその事実を受け止めつつ、それを描きながらも静かにその喪失感が伝わってくる内容でした。

 弱っていく大家さん(ありがちと言ってはなんですが、転倒による骨折からの衰弱)、それに向き合う大家さん自身と矢部さん。
 僕は今暮らしている家の大家さんに会ったことすらありませんが、大家さんではなくても、こうして年齢も境遇も経験も全く違う人と関わる機会が(少なくとも都市部では)少なくなってきている現在ではとても羨ましく感じました。

 大家さんだけではなく、大家さんを通して、大家さんのお友だちとも知り合って行く。
 人とのつながりって本当に不思議で、簡単に絶つことも出来るけれど、簡単には出会えない人との出会いやつながりって本当に貴重だよな、と痛感します。
 そして、そのつながりも、いつ終わるかも分からないし、突然終わってしまうこともあるということを再認識しました。

滝沢秀一、滝沢友紀『ゴミ清掃員の日常』

 新聞記事で以前読んでとても良かった、マシンガンズ滝沢さんの新刊が紹介されていました。
 前作『このゴミは収集できません』がとても良かったので、新刊も早速手に取って読んでみました。

 

digital.asahi.com

 


ゴミ清掃員の日常

 

『ゴミ清掃員の日常』(滝沢 秀一,滝沢 友紀)|講談社コミックプラス

 

内容紹介講談社より)
『ゴミ清掃員の日常』と題し、ゴミ清掃にまつわるさまざまな話題を独自の視点で描いたマンガをTwitterにアップし、バズりにバズる。
マンガ『ゴミ清掃員の日常』は滝沢がネームを、滝沢の妻が作画を担当する。マンガはどちらも素人による夫婦共作。掲載は「コミックDAYS」「マガポケ」「Palcy」といった漫画アプリ3つに加え「現代ビジネス」の講談社の4媒体で同時連載という異例のかたちになっている。

勝手に五段階評価
★★★☆☆

感想
 
読んでみての感想ですが、残念ながら、前作『このゴミは収集できません』を読んだ人にはオススメしません。
 なぜなら、殆どの内容が重複しているからです。
 新たなエピソードと、滝沢さんの妻・友紀さんが書いた漫画はほんわかした感じでとても良いです。

 しかし、残念なのは、内容が重複しているだけでなく、本の半分が滝沢さんのツイートの紹介になっていることです。
 初めて滝沢さんの存在を知ったりする人には良いのかもしれませんが、ツイートはTwitterをたどれば分かるわけですし、なんとも残念でした。

 なので、今回★3つ付けていますが、これは、初めて読んだ人だったらという感じで付けていて、僕自身の正直な感じでは★2つくらいの感じです。
 エピソードとしては『このゴミは収集できません』の方が豊富な気がしましたし、全体の統一感があるので、読むとしたら、『このゴミは収集できません』の方をオススメします。